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4.求めているもの。

(*‘ω‘ *)間に合ったw

頑張って毎日更新しますので、コミカライズも応援よろしくお願いいたします!!










 それから数日して。

 コルネという少年の姿を意識的に追いかけた結果、彼という人物の求めているものが見えてきた。今のところ、コルネが求めているのは修繕師としての技術だけ。

 ボクが声をかけたとしても、技術以外の雑談には耳を貸さなかった。

 心構えや考え方、そういったものを知ることができていない。



「ライル。良いのですか……?」

「うーん……」



 そのことを心配したのはボクだけではない。

 アーシャも同じで、ある日の休憩時間にそう訊いてきた。



「ライルが教えた技術がもし、万が一にでも悪用されたらどうするのですか?」



 そして、そう念押しをする。

 彼女がボクのことを心配してくれているのは、本当によく分かった。

 たしかにアーシャの言う通り。ボクの弟子として修繕師になったとして、そんな彼に悪評が立てば店の経営に影響が出るだろう。彼女はとにかく、ボクの身を案じてくれていた。


 そのことは、とてもありがたい。

 でも……。



「…………ちょっと、気になるんだ」

「気になる、ですか?」

「うん……」



 そうやって歯切れ悪く答えると、アーシャは首を傾げた。

 静かに答えを待ってくれる彼女にボクは、胸の中にあるモヤモヤを伝える。




「どこか、彼がボクと似ているって……そう、思えて」――と。




 確証はなく。

 ただ、弟子入りを志願した時の表情。

 それが何故か、よく知っているそれと重なった。



「……ライル…………?」

「うん、ごめん。やっぱり上手く言えないんだ」

「なるほど」



 自分でもむず痒く思い、鼻っ面を搔いてしまう。

 そうしていると、大きく頷いたのはアーシャだった。



「それでしたら、信じます」

「……え?」



 首を傾げると、彼女は笑うのだ。




「ライルのそういった直感が、外れるはずがありませんから!」




 その笑顔はまるで、ボクの背中を押すようでもあった。









 そうと決まれば、あとは調べるしかないだろう。

 ボクは翌日、早速コルネの家へ向かった。



「――で、嘘の情報を教えられた、と」



 …………どうやら、最初に聞いていた家の場所も誤情報だったらしい。


 向かった先は見事なまでの空き地。

 街の中程で、ボクはしばし途方に暮れていた。



「うーん、とにかく歩くしかないか……」



 こうなったら、足を使うしかない。

 そう考えてボクはアテもなく、とにかく歩き続けた。そして、



「……う、うぅ。さすがに疲れてきた」



 かれこれ数時間。

 高かった日もすっかり傾いて、街を朱に染め始めた頃合い。

 曲りなりにも冒険者経験者であるボクの体力さえ、尽き始めていた。――これはもう、次の道を曲がったら帰ることにしよう。そう、思っていた。





「もう、いい加減にして!!」

「なんでだよ、どうして――」








 その時だ。








「話を聞いてくれ、頼むよ!」








 今にも泣き出しそうな少年の声が、聞こえてきたのは。





















「少しで良いんだ、母さん……!!」――と。











 


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