4.求めているもの。
(*‘ω‘ *)間に合ったw
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それから数日して。
コルネという少年の姿を意識的に追いかけた結果、彼という人物の求めているものが見えてきた。今のところ、コルネが求めているのは修繕師としての技術だけ。
ボクが声をかけたとしても、技術以外の雑談には耳を貸さなかった。
心構えや考え方、そういったものを知ることができていない。
「ライル。良いのですか……?」
「うーん……」
そのことを心配したのはボクだけではない。
アーシャも同じで、ある日の休憩時間にそう訊いてきた。
「ライルが教えた技術がもし、万が一にでも悪用されたらどうするのですか?」
そして、そう念押しをする。
彼女がボクのことを心配してくれているのは、本当によく分かった。
たしかにアーシャの言う通り。ボクの弟子として修繕師になったとして、そんな彼に悪評が立てば店の経営に影響が出るだろう。彼女はとにかく、ボクの身を案じてくれていた。
そのことは、とてもありがたい。
でも……。
「…………ちょっと、気になるんだ」
「気になる、ですか?」
「うん……」
そうやって歯切れ悪く答えると、アーシャは首を傾げた。
静かに答えを待ってくれる彼女にボクは、胸の中にあるモヤモヤを伝える。
「どこか、彼がボクと似ているって……そう、思えて」――と。
確証はなく。
ただ、弟子入りを志願した時の表情。
それが何故か、よく知っているそれと重なった。
「……ライル…………?」
「うん、ごめん。やっぱり上手く言えないんだ」
「なるほど」
自分でもむず痒く思い、鼻っ面を搔いてしまう。
そうしていると、大きく頷いたのはアーシャだった。
「それでしたら、信じます」
「……え?」
首を傾げると、彼女は笑うのだ。
「ライルのそういった直感が、外れるはずがありませんから!」
その笑顔はまるで、ボクの背中を押すようでもあった。
◆
そうと決まれば、あとは調べるしかないだろう。
ボクは翌日、早速コルネの家へ向かった。
「――で、嘘の情報を教えられた、と」
…………どうやら、最初に聞いていた家の場所も誤情報だったらしい。
向かった先は見事なまでの空き地。
街の中程で、ボクはしばし途方に暮れていた。
「うーん、とにかく歩くしかないか……」
こうなったら、足を使うしかない。
そう考えてボクはアテもなく、とにかく歩き続けた。そして、
「……う、うぅ。さすがに疲れてきた」
かれこれ数時間。
高かった日もすっかり傾いて、街を朱に染め始めた頃合い。
曲りなりにも冒険者経験者であるボクの体力さえ、尽き始めていた。――これはもう、次の道を曲がったら帰ることにしよう。そう、思っていた。
「もう、いい加減にして!!」
「なんでだよ、どうして――」
その時だ。
「話を聞いてくれ、頼むよ!」
今にも泣き出しそうな少年の声が、聞こえてきたのは。
「少しで良いんだ、母さん……!!」――と。




