12.そうきっと、いつまでも。
これにて第6章、完結!!
第7章は、しばしお待ちください!
※速報※
近日連載再開予定。
あと、あとがきに新作情報有りなので、応援よろしくお願いします!!
少女たちが、教会の前で口々に話し合っている。
「今日は誰の結婚式なの?」
「お姫様? それとも、貴族様?」
「でも、お客さんは貴族様だけじゃないみたいだよ?」
「そうだね。だけど、みんなとっても嬉しそう……!」
その日、その場所には、多くの人が集まっていた。
公爵家を始めとした貴族たち。
そして、普段とは雰囲気の異なる冒険者たち。
彼らもまた笑顔を浮かべて、口々にこう語り合っていた。
「今日はまるで、王族の結婚式のようだ」
「それだけ、祝福する方が多いということですね」
「あの二人が結ばれて嬉しい人が、これだけいるってことだな!」
貴族も平民も、今回ばかりは関係ない。
それだけ、主役たちの門出を心から祝う者が多かったのだ。
「さて、そろそろ時間だね」
「そうですね。わたくしの方が、緊張してきました……」
「ははは! アーシャが固くなってどうするのさ!」
「む、むぅ……! 結婚式は特別なのですよ!!」
ボクは傍らに立つ少女を見て、思わず笑ってしまう。
するとアーシャは不服と言わんばかりに膨れっ面になって、ぽかぽかとこちらを叩いてきた。痛くはない。どちらかといえば、くすぐったい感じだ。
それにまたボクが笑うと、ついに諦めたのか彼女は一つ息をつく。
「それにしても、良かったですね」
「ん……?」
そして、唐突にそう言ってくるので首を傾げてしまった。
「惚けないでください。ライルったら、ここ数日は寝ていないのでしょう?」
「あれ、バレたか……」
どうやら見抜かれていたらしい。
ボクがおどけて頬を掻くと、さらに呆れたようにアーシャはため息。
「まったく。目の下にハッキリとしたクマを作っておいて、誤魔化せるわけがないです。本当に貴方はお人好しで、加減を知らないというか」
「あはは……」
「まぁ、ライルらしいといえばライルらしくて安心しますけど」
少女の言葉に、苦笑いするしかなかった。
何故なら、すべて彼女の言う通りだったのだから。
でも、今回の修繕はいつにも増して楽しかった。だから――。
「――あ! そろそろ、時間になりますね!」
そう、思った瞬間。
アーシャは騒がしくなった教会の入口を見て、そう口にした。
それを聞いて、ボクも教会の方へと視線を向ける。すると間もなく、大きな歓声が広がっていくのだった。
◆
「ねぇ、リンドさん……?」
「どうしたんだい? シエスタ」
外に出る直前。
ドレス姿の新婦は、傍らに立つ新郎に声をかけた。
「私、本当に幸せです」
「あはは。それは、本当に良かった」
「はい……!」
そして、何気ない会話をして微笑む。
そんな彼女の左腕と左脚は、本物のそれと見紛う義手義足。花束を胸に抱きかかえて、ゆっくりと左手薬指にはめた指輪を見た。
思い出の結婚指輪。
あの日の輝きと寸分違わぬそれに、新婦は思わず涙ぐむ。
「おやおや。これからが見せ場なのに、キミが泣いてはいけないだろう?」
「はい……! そう、ですね……!」
様々な思いが込み上げてくる。
苦しく、辛く、思い悩む日々ばかりだった。
ただ、それらがあるから今がとにかく嬉しくてたまらない。
「さぁ、行こう! ――シエスタ!」
「はい、リンドさん!!」
そしてついに、その日々もフィナーレを迎える。
きっと多くの女の子が夢見る時間。
シエスタは、しっかりとした足取りでその舞台に立つのだった。
「………………!」
歓声が沸き起こる。
教会前を埋め尽くす人の数に、彼女は息を呑んだ。
ほんの少しだけ足がすくむ。でも、もう迷うことはなかった。
「本当に、ありがとう……!」
あの二人を見つけて、シエスタはそう呟く。
そして、胸にあるそれよりも美しい花を咲かせて――。
「行きますよ? ……せー、のっ!」
ブーケが宙を舞う。
こうして一人の女の子は、ゴールを果たした。
でもきっと、この幸福には終わりがない。いつまでも。
そう、きっといつまでも……。
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