4.シエスタという女性。
今回は短め。
次回のための繋ぎのお話。
あとがきも、よろしければd(*‘ω‘ *)!
――シエスタさんは、一言で表せば希薄な印象の女性だ。
穏やかな微笑みを常に浮かべているが、自分の存在自体をどこか別の場所に置いてきているような。そんな印象を受けてしまった。
だがそれも、そのはずかもしれない。
彼女はリンドさんの婚約者だ。
そんな彼女には、左腕と左脚がないのだから。
そのことが、いったいなにを意味するのか――。
「…………あの……」
理解できないほど、ボクも馬鹿ではなかった。
婚姻が先延ばしになっている理由。それは、間違いなく……。
「あぁ、気にしないでね。こんな身体になって、もう五年だから慣れてるの」
だけども、あえてそれに触れたのはシエスタさんだった。
ボクが少しの驚きと共に面を上げると、向かいのソファーには、やや自嘲気味に笑う彼女の姿。右手で口元を隠しながら、一つゆっくりと息をついた。
「お二人のことは、リンドさんから聞いています。とても元気な女の子と、とても腕の良い修繕師さんなんですよね?」
「あ、えっと……」
「うふふ。謙遜しなくても良いんですよ? ただ――」
「……ただ?」
アーシャが小さく、遠慮がちに首を傾げて訊き返す。
すると、また一つ息をついてからシエスタさんはこう口にするのだった。
「あの人の枷にならない、そんな貴方たちが少し羨ましいんです」――と。
そして、どこか遠くを見ながら。
シエスタさんは――。
「五年前のことです。わたしは、リンドさんと共にパーティーを組んでいました」
そう、ゆっくりと語り始めた。
まさしく懐かしい日々を思い出すようにして……。
https://book1.adouzi.eu.org/n5035gy/
こちら、新作です。
面白かった
続きが気になる
更新がんばれ!
もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより★★★★★評価など。
創作の励みとなります。
応援よろしくです。
<(_ _)>




