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2.少年からの相談。

近日また、更新できそうです。










「それで、リンドはなんて言ったと思いますか? ――『アーシャ様はまだまだこれから、発展途上ですからお気になさらず』ですよ? 失礼とは思いませんか!?」

「あ、あはは……」



 ある日の昼下がり。

 ちょうどお客さんの波もひと段落したタイミングで、アーシャがやってきた。お茶を出すと、矢継ぎ早に出てきたのはリンドさんの話。

 なにやら公爵家で集まりがあったらしく、その際に彼女の逆鱗に触れる言葉があったらしい。ボクは苦笑いをしながら、それを聞き流していた。



「まったく……。わたくしだって、一人の女性なのです。気にしていることは気にしていますし、本当に無神経です!」

「でも、そうやって家族みたいに触れ合えるのは、いいことだよ?」

「家族ですか? あぁ、そう言えば訊きたかったのですが――」



 そして、こちらがお茶を一口しようとした時。

 何気なくアーシャはこう言った。



「ライルのご両親に、ご挨拶したいのですが……」――と。



 ボクはカップを持った手をピタリと止めて。

 ちょっとだけ息を呑んでから、彼女に気取られないように答えた。



「あぁ、ボクの両親、か。話してなかったっけ?」

「そうですね。お爺様のお話は常々耳にしていましたが――」



 その時である。



「……っと、いらっしゃいませ!」



 お客さんが、店に入ってきた音が聞こえたのは。

 ボクは一度会話を切って、椅子から腰を持ち上げて確認した。


 すると――。



「あれ、テーニャ……?」

「こんにちは。ライルさん」



 そこにあったのは、常連となった一人の少年の姿だった。







「テーニャが一人で修繕依頼にくるなんて、珍しいね」

「そう、ですね……」

「…………?」




 ひとまず修繕する剣を受け取って、ボクは少年にお茶を入れた。

 しかし、どこか彼は浮かない表情を浮かべている。というよりも、何かを悩んでいるようにも思われた。いったい、どうしたというのだろうか。


 アーシャに目配せをすると、どうやら彼女も気になったらしい。

 ボクは小さく頷いてから、テーニャに訊ねた。



「なにか、あったのかな?」

「…………」



 すると彼は、やや目を伏せてから。



「あの、リンドさんのことなんですけど……」




 そう、語り始めるのだった。




 


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