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3.奇才の驕り。

(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾さて、久々の更新。

忘れないように手を動かすのだ。


あ、あとがきに挑戦的新作のお知らせアリ。







「そ、それで? エリザは、俺の仕事の手伝いにきたって言ってたけど……」

「はい……。エルフの村の長から、修繕師を手助けするように、と」

「そ、そうかぁ……! あ、あはは!」



 ローンドは、完全に鼻の下を伸ばしていた。

 彼もそれなりに浮いた話が多い人間ではあったが、ここまでべた惚れしたのは初めて。というよりも、今までの恋愛というのが本気ではなかったのだ。

 二十三歳になって、青年は初めて色恋というものを理解したのである。



「そうか、そうかぁ……」

「…………?」



 先ほどから、自分に向けられる熱っぽい視線の意味が分からない。

 そんな様子でエリザは、ポカンとして小首を傾げた。


 しかし、このまま話が前に進まないのは駄目だろう。

 そう考えて、彼女は意を決したように言った。



「あの、ローンドさん。わたしに、経典を見せてくださいませんか?」



 エリザの言葉に、ようやくハッとするローンド。

 だが、そんな彼の口から出たのは――。



「……いいや駄目だ。これは、俺一人で解決する」



 強がりとも思える台詞だった。

 事実、青年は視線を泳がせてエリザを直視しない。

 その様子の変化には、どこか気の抜けた彼女でも気付いたらしい。



「それは、どういう意味ですか……?」



 やや怒ったように。

 エリザはローンドに詰め寄った。

 すると彼はあからさまに狼狽えた後に、苦笑しながら頬を掻く。そして、大きなため息をついてこう告げるのだった。



「これは、俺の引き受けた仕事だ。俺様にできない修繕はない。――誰かの手を借りてしまったら、それは俺の修繕師としての名折れだ」

「名折れ……?」



 それは職人としての、誇り――プライドについて。

 すべては自分の手で完結してこそ、意味があるのだと彼は言った。そのことに、エリザは少しだけ不安そうな表情を浮かべる。


 そして、ローンドを見てこう訊ねるのだ。



「それで――」



 今にも、泣き出しそうな声で。




「本当に、すべての思いを直せるのですか……?」――と。




 その言葉に、ローンドはこう答える。




「思い出……? ははは、そんなの――」




 まるで、響いてない。

 それがよく分かる、そんな顔で。




「簡単だ。元通りにすれば、全部解決だろう?」




 彼は、この言葉を後悔した。

 なんと自分は利己的だったのだろうか、と。

 そして、どうしてエリザの心にもっと寄り添うことができなかったのか、と。




 ゆっくりと、歯車が回り始める。

 これは一つの悲しい思い出。


 奇才と呼ばれた一人の修繕師が、唯一残した汚点だった。




 


https://book1.adouzi.eu.org/n5951gv/

ちょっと挑戦的な内容の新作書きました。

下記のリンクより飛べますので、面白かったら応援してやってください。




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