表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/143

6.ティローの知る修繕師。

遅くなり申し訳ございません。

応援よろしくです!










「……相手に寄り添う、ですか」




 ボクの話を聞き終えたティローは、どこか難しい顔を浮かべて言う。

 そこには、何か悩みごとがあるようにも思えた。けれども彼はすぐに首を左右に振って、小さな笑みを浮かべてこう続ける。



「あぁ、きっと。ライルさんなら、大丈夫なのでしょう」



 そして、おもむろに立ち上がった。

 どうやらコーヒーを飲み終えたらしい。ボクのカップもちょうど空になったところで、ティローが気を利かせてくれたようだった。

 彼は何も言わずにこちらのカップを受け取ると、工房を出ようとする。


 だが、何かを思い出したように振り返るのだ。



「あぁ、そうです。その経典について、なのですが――」



 こちらが彼を見るのを確認してから。

 最後に、こう口にした。



「風の噂では、数十年前に修繕を試みた男がいたそうです」――と。









 ――工房を出て、廊下の窓際に立ったティロー。

 彼は夜空を見上げて、何かを思案したようにこう呟くのだった。



「……相手に、寄り添う」



 眉をひそめて。

 どこか、忌々しげに。




「いったい、どの口が言うのか……!」




 ティローは、強く唇を噛んだ。

 握りしめた拳。手のひらに爪が食い込むのも、気にならなかった。



「いえ、今はまだですね。……ひとまず、お手並み拝見といきましょうか」



 されども、一つ大きく息をついてから。

 青年は肩越しに、ライルの工房への扉を見た。




「『最低の修繕師』の孫――ライル・ディスガイズ」




 最後にそう言い残して、彼は客間へ向かう。

 その行く先は、明かりの一つもない暗闇だった……。




 


ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます!


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!


もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより★★★★★で評価など。

創作の励みとなります。


応援よろしくお願いします!

<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ