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7.不思議な繋がりを持つ、少年少女。

応援ありがとうございます!

よければ、あとがきまでお読みください!!


次回で、第2章は〆かな。










 ――数日後。


 アーシャはまた、王城にいた。

 そして、フラン王女の姿を探す。やや駆け足に捜索すること十数分、彼女の姿は先日と同様、中庭にあった。ひとまず安堵したアーシャは、ゆっくり王女に歩み寄る。



「こんにちは、フラン様」

「アーシャお姉ちゃん、こんにちは」



 声をかけると、フランは表情を変えずにそう答えた。

 妖精との会話の途中だったのだろうか、王女は小さく手を振ってからこちらを振り返る。そして小さく首を傾げて、こう言うのだ。



「いま、妖精さんから聞いたよ? あの男の子の話だよね」――と。



 珍しく、嬉しそうに目を細めて。

 それにアーシャは、心の底から驚いた。


 今日、ここにくるまでテーニャの話などしていない。

 だから王女がそう口にするのは、まずあり得ないことだった。――そう。本当に、妖精と情報を共有でもしない限りは。



「それならもう、わたくしが話す必要はない、ですか?」

「ううん。細かいことは知らないの。だから、聞きたいかな」



 アーシャは速くなる胸の鼓動を感じながら、そう訊ねた。

 するとフランは、首を左右に振ってから答える。だとすれば、しっかりと提案しなければならない。そう思って、公爵家令嬢は真っすぐに王女を見た。



「フラン様。もし、よろしければ――」







「……え、王女様には会いたくない?」

「はい……」



 ボクはテーニャの言葉に、驚いてそう答えた。

 修繕終了の期日に、少年は時間ピッタリにやってきてそう話すのだ。

 アーシャに頼んで彼とフラン王女を再会させる、という算段だったのだけど。まさか、その前段階で断られるとは思ってもみなかった。


 というか、そもそも――。



「相手が王女様だって、知ってたの?」



 ボクは、そのことに驚いた。

 以前会った時の彼は、高貴な少女、としか言っていない。

 つまるところ、テーニャ自身はその子が王女だとは知らないはずなのに。



「妖精たちが、話をしてくれたんです」

「あぁ、そうなのか……」



 こちらの困惑を察してか、彼は簡単に種明かしをしてくれた。


 独自の情報網、というやつなのかもしれない。

 ボクはそう納得して、改めて訊ねた。



「それで、どうしてなの……?」



 どうして、テーニャはフラン王女に会いたくないのか。

 それについて、彼は微かに笑って言った。



「えっと、ですね――」



 あどけなくも、整った顔立ち。

 そこに恥じらいも、僅かに見せながら。




「昨日、伝えたんです。いつか僕の力で、返しに行ってみせます、って」――と。




 それは、もしかしたら彼なりの誓いだったのかもしれない。

 あの日のような弱い自分ではなく、いつか強い自分になって、と。



「……そっか」



 ボクは少年の言葉を聞いて、どこか誇らしくなった。

 そして、そんな彼に自分ができることは、一つしかないと再確認する。



 奥の棚から、髪飾りを取り出して。

 テーニャに手渡しながら、ボクはこう伝えるのだった。




「今度は、守ってあげなくちゃ駄目だよ?」

「…………はいっ!」




 輝くそれに、負けないくらいの満面の笑みで。

 少年はボクに頷くのだった。




 修繕師にできるのは、あくまで『思いを繋ぐ』こと。

 だったらボクは、何度でもテーニャたちの力になろうと誓った。




「……あ、でも。それだったら――」




 だけど、そこでふと思い付くことがある。

 テーニャを呼び止めて、ボクは少年にこう言った。




「相談に乗ってくれそうな人がいるんだけど、どうかな……?」――と。




 


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