4.貧困街での再会。
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翌日、店が定休日だったのは都合が良かった。
ボクは男の子の家を目指して歩く。基本的には使うことのない、修繕に問題が発生した際の身元確認だったけど、まさか役に立つとは思わなかった。本来の用途とは違うけれど、必要なことだと自分に言い聞かせる。
「えっと、この道を右だよな……?」
そんなこんなで、舗装されていない地面剥き出しの道を進んだ。
男の子――テーニャの住まいは、大方の予想通り貧困街にあるらしい。行けば行くほど、周囲の景色は殺風景になっていく。
目印らしいものも、だんだんと心許なくなってきた。
なるべく早くに用事を済ませないと、帰宅困難になるだろう。
「あと少し…………ん?」
なので、やや急ぎ足に道を曲がった。
その時である。
「おい、テーニャ! いい加減、あの髪飾りを寄越せ!」
「嫌だ!! 絶対に、お前らなんかに渡さない!!」
ハッキリと、そんな言い争う声が聞こえたのは。
とっさに廃屋の陰に身を隠して覗き込むと、そこには――。
「んだと!? テーニャの癖に、生意気だな!!」
「うわっ!!」
思い切り突き飛ばされる、あの少年の姿があった。
尻餅をついた彼の目の前には、やや恰幅の良い大柄な男の子の姿。そして、取り巻きであろう子供たちがいた。瞬間、ボクは考えるより先に駆け出す。
「やめろ、何してるんだ!!」
両者の間に割って入り、テーニャのことを庇うように立ちふさがった。
すると、相手の子供たちは分が悪いと踏んだのだろう。
「ちっ、さすがに大人相手はできねぇな。逃げるぞ!」
そう言って、どこかへと行ってしまうのだった。
周囲に誰もいなくなったのを確認してから、ボクは改めてテーニャを見る。幸いなことに、大きなケガはしていないらしい。
「大丈夫、かな。テーニャくん」
「あ、貴方は……」
手を差し出すと、彼は驚いた顔でボクを見上げた。
そして、やや申し訳なさそうに手を取る。
「す、すみません。助けてもらって……」
「いいよ、大丈夫だから。気にしないで」
細かい砂を払ってあげて、ボクはあの時のように視線を合わせた。
首を傾げるテーニャ。そんな彼に、ボクは一つ息をついて――。
「ねぇ、少しだけ話を聞いても良いかな?」
そう、訊ねるのだった。




