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エピローグ 『想い』を繋ぐ修繕師。

※最終巻発売しました!


https://book1.adouzi.eu.org/n1469kx/

あとがき下のリンクから新作へ。

応援よろしくお願いいたします!








 人の『想い』というものはそれぞれだ。

 美しく感じるものもあれば、時に共感できないものもあるだろう。それでもボクは、人は必ず誰かしらを『想って』いるのだと信じたい。

 がむしゃらにもがき続けた数年間で、ボクは貴重な経験に恵まれた。

 たくさんの成長をして、大きな挫折も経験した。


 だからこそ、胸を張って言える。

 人と人がいる限り、そこには必ず『想い』というものが生まれる。そして、それはきっとまた人から人へ、新しい形と意味を持って繋がっていくのだろう。


 ボクがしてきたのは、その一端に少しだけ手を添える程度のこと。

 人はみな、誰もが思い悩んで、それでも前を向く。


 それこそがきっと、尊いものなのだろう。







「うん? どうしたの、アトリエにくるなんて珍しいじゃないか」

「ねぇ、お父様! これは何? すっごくキラキラしてる!」




 ボクが修繕をしていると、一人の少女がひょっこりと顔を出した。

 彼女はこちらが手にした品を見て、目を輝かせる。




「あはは、なんだと思う?」




 そんな姿が、どこか懐かしくて。

 ボクはほんの少し、意地悪な問題を出した。




「えー……っとね、お父様が作ったんだよね?」




 だけど、幼い子供には分からないだろう。

 そのことは予想済みで、ボクは彼女を膝の上に乗せて依頼品に触れさせた。




「いや、残念ながら不正解だね。ボクがやっているのは『修繕』さ」

「しゅう、ぜん……?」




 答えを伝えても、どうやらピンときていないらしい。

 首を何度も傾げながら、道具と依頼品を交互に見比べていた。


 その時だ。




「あぁ、もう! ここにいたのですね!?」

「あ! お母さま!!」




 部屋の扉の方から、妻の声が聞こえたのは。

 彼女は膝の上の彼女を見ると、頬を膨らしながら言った。




「お父様はお仕事中ですよ! ほら、こっちにきなさい?」

「えー……いいではないですか、お母さま……」




 そんな幼いやり取り。

 ボクはどこかおかしくなって、思わず笑ってしまう。

 そして、ちょっとだけ不機嫌な妻に向かって、優しく言うのだった。



「いいよ、アーシャ。この子も、興味あるみたいだしさ」

「……ライル…………」




 するとアーシャは、毒気を抜かれたように一つ息をつく。

 そのまましばし考えてから、彼女はこう提案した。




「そうですね。では、たまには私たちに修繕を教えてくださいませんか?」

「え!? アーシャにも!?」

「良いではないですか! 私だって、少しは興味あります!!」

「それ、この子のこと言えないんじゃない……?」

「……なにか、文句でも?」

「いえ、なにも」




 それに驚きはしたが、こうなっては仕方ない。

 ボクは作業をいったん終了し、練習用の道具を取り出した。そして、




「いいかい? これは、人の『想い』を繋ぐ大切なものなんだ」





 最愛の娘に、そう語り掛ける。

 彼女はまだ分からないのか、少し不思議そうにしていた。

 ボクとアーシャはそんな娘の姿に思わず笑いながら、でも真剣に伝える。





「だから、決して雑に扱ってはいけないよ?」

「はい! 分かりました!!」

「よし、それじゃあ――」





 元気な返事。

 それを聞いて、ボクは大きく頷く。

 そして、胸の高鳴りのままにこう宣言するのだった。





「みんなで一緒に、やってみようか!」







 こうして、また一つの繋がりが生まれて。

 繋がれた手はいずれ、大きな未来へと続いていく。そう、これは――。

 







 そんな『想い』を大切にする、一人の修繕師の物語。



 


これにて完結です。


連載開始からちょうど3年間、ありがとうございました。

現在、絶賛連載中のコミカライズ版もよろしくお願いいたします!!


https://book1.adouzi.eu.org/n1469kx/

新作もよろしく(*'▽')ノ

もしよろしければ下記のリンクより、応援いただけますと幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 完結おめでとう 一話辺りの密度がやはり少ない気がするし、 他の作品では更新頻度落ちてでも文字数と密度増やしてもいいかもです( ` -´ )bイイネッ
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