4.根源の悪夢。
ライルの根底にあるのは、悪夢。
あとがきから、新作もよろしくです(*'▽')ノ
「お父さん。お爺ちゃんと、喧嘩してるの?」
――夢を見た。
それはたしか子供の頃、祖父と父が喧嘩している姿を初めて目撃した翌日のこと。幼く、配慮の足りなかったボクは、父さんに向けて真っすぐな質問を投げかけた。
それはどうして、と。
どうして二人は喧嘩をしているのか、と。
「そんなことはない。……ライルは、気にしなくて良いんだ」
「ううん、喧嘩してたよ。ボク、見たもん」
「………………」
父は最初こそ、笑って受け流していた。
それでもボクはしつこく、何度も同じことを訊ねる。
そうしていると、次第に父の表情が強張っていくのだった。いまならやっと、どうして彼の顔が曇っていったのか理解できる。
いったい何故、父の笑顔が凍り付いていったのか。
でも、当時のボクには分からなくて――。
「ねぇ、どうし――」
「うるさい! いい加減に……いい加減に、黙るんだ!!」
「――ひっ!?」
やがて、父は余裕をなくした様子で声を荒らげた。
思わぬ激昂に対して、ボクは恐怖を感じて身を縮こませる。呼吸を乱して怒り、しかしひどく狼狽えた父の姿。彼の今までに見たことのない表情に、とかく衝撃を受けた。
だがそれ以上に、ボクが辛かったのは『祖父と父の不仲を確信』したこと。
そのことが何よりも悲しくて、辛くて、とめどなく涙が溢れ出した。
「あ、あぁ……」
「ちょっと、貴方! 何をしているの!?」
「い、いや……これは、その……」
そこに騒ぎを聞きつけた母が割って入ってきて、父はようやく我に返ったらしい。ボクのことを見て声を震わせ、口にする言葉はまったく要領を得なかった。
その最中もボクは泣きじゃくるだけで、何もできない。
子供だから、当たり前だと今なら思えた。
でも――。
『ボク、の……』
――それから、だ。
父と祖父が以前よりも、頻繁に口論するようになったのは。
そして、ボクはそんな二人の姿を見て思うのだ。
『ボクのせい、だ……』――と。
ボクが下手なことを訊いたせいで、壊れてしまったのだと。
そう。二人の不仲は、自分のせいなのだ……と。
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