11.順風満帆の最中に。
紙コミックス3巻発売中です(*'▽')
そして、次の話でこの章は終わりになります。
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「えっと、こっちの構造は……」
「なぁ、そこは俺にやらせてくれないか?」
「コルネ……?」
作業に取り掛かってしばらく。
神殿の大まかな外装については形が整い始めていた。その中で、備え付けの時計について修繕を行おうとした時だ。コルネがボクにそう声をかけてくる。
「どうしたの、急に」
「別に。ただ、自分も何かしたい……って思ってさ」
「……あぁ、そっか」
その理由には、なんとなくだけど思い当たった。
時計というものは彼にとって、特別だ。幸い比較的簡単な構造をしているし、ここは弟子を信じて任せてもいいのかもしれない。
「だったら、お願いしても良いかな」
「あぁ、任せろ!」
すると青年は、どこか嬉しそうに笑いながら言った。
そうしてこの場は彼に任せて、自分は何をしようか考えた時だ。
「あの、ライルさん。少し良いですか?」
「……ん、どうしたの。テーニャ」
テーニャが小さな声で、そう訊ねてきたのは。
こちらが訊き返すと、彼は少し考えてからこう答えた。
「妖精たちが、言っているんです。……そこはそうじゃない、とか」
「……妖精たちが?」
首を傾げる。
いったい、彼らが何を伝えようとしているのか。
そのことについて不思議に思って首を傾げていると、現れたのは――。
「きっと、神殿の細かな意匠について、じゃないかしら」
「リコさん……?」
死霊術師――霊たちとの対話を可能とする、ネクロマンサーのリコさんだった。
彼女は周囲に目を配ってから、一つ頷いて話し始める。
「この神殿にいる古い霊たちも、同じことを言っているの。今ではずいぶん壊れてしまっているけど、本当はもっと美しい装飾や意匠が施されていた、って……」
「なるほど、つまりデザインも元通りにしないと意味がない、ってことか」
「きっと妖精たちも、そう言いたいのだと思います」
「…………」
彼女の言葉に納得すると、テーニャも同意した。
もし、そうだとしたらかなりの労力がかかることになるが……。
「分かった。……二人とも、協力してくれるかな?」
きっと、お爺ちゃんなら手を抜きはしない。
そう思った。だから――。
「えぇ、もちろん」
「僕も頑張りますね!」
二人に申し出ると、快い返答があった。
共に明るい笑顔。ボクはそんな彼らを見て、ふと思った。
「……………………」
しかし、すぐにその感情を仕舞い込む。
考えるのは、後にしよう。
きっとこの感情は、いまばかりはノイズに他ならなかったから。
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