表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

119/143

6.季節外れの墓参りで。

懐かしいキャラがどんどん出てきます(*'▽')

あとがきの新作、応援してね!








 神殿修復の依頼を断る理由はなかった。

 それが祖父――ローンド・ディスガイズの残した課題であれば、なおのことだ。国王陛下は『キッカケ』という風に濁していたが、三者の関係を引き裂いた事件は経典の修繕に他ならない。その経緯を察したからこそ、ボクは二つ返事で引き受けたのだった。



「ライル、少し表情が硬いですよ……?」

「あ、え……そ、そうかな」

「ずっと眉間に皺が寄ってます」

「………………」



 そう考えていると、心配そうに声をかけてくれたのはアーシャ。

 彼女は小さく首を傾げながらこちらの顔を覗き込むと、指で自身の眉間をトントンと叩きながら言った。その指摘を受けてようやく、ボクは自分が険しい顔をしていたと気付く。

 どうやら自分で思っているより、今回の一件に入れ込み過ぎているようだった。



「……やはり、気になりますか?」

「そう、だね……」



 アーシャもそれを理解しているのだろう。

 静かに訊ねられ、ボクは一つ息をつきながら答えた。

 ここまで緊張する依頼というのは、もしかしたら久し振りかもしれない。彼女が訊いてきたように、ボクにとって家族の問題は大きいのだ。

 祖父と父、そして自分。

 もうすでに袂は分かったと考えているが、気にしないのは無理だった。



「それなら、ローンドさんにご挨拶してきませんか?」

「え、挨拶って……」



 そう思っていると、アーシャがそう提案してくる。

 一瞬だけ何を言われたか理解できず、呆けてしまうが……。



「……あぁ、そういうことか」



 ボクはすぐに合点が行って、彼女に頷き返すのだった。









 ――祖父の墓に夏季以外でくるのは、初めてだった。

 すっかり雪化粧がされた墓標は、少しばかり寂しさを醸し出している。この季節に墓参りをする人は、まずいない。だから余計に周囲の物音が、ハッキリと聞こえるような気がした。

 ボクとアーシャは雪を軽く掻き分けながら、目的の場所に到着。

 そして、ふと気付くのだった。



「あれ、誰かきたのかな……?」



 祖父の墓前には、ささやかな花束が置かれている。

 つまりボクたちより先に、誰かが季節外れの墓参りをしたということ。だけど、いったい誰なのだろうか。祖父の関係者で、そんな変哲な行動を取る人が思い浮かばなかった。

 考えても、きっと答えは出ないのだろう。

 だが、それでも気になって仕方がなかった。



「ねぇ、アーシャ。誰だと思う……?」

「……さぁ、分かりませんね」

「うーん……」



 そう思って傍らに立つアーシャにも訊ねるが、やはり答えは出てこない。

 そんな時だった。




「あぁ、ここにいたのですね?」

「え……その声、って――」




 またずいぶんと、懐かしい声が聞こえたのは。

 ボクが驚いて振り返ると、そこにいたのはエルフの男女だった。


 そして、男性の方には馴染みがある。

 ボクはどこか嬉しくなり、その青年の名前を口にした。




「ティロー、ひさしぶり!」




 するとエルフの青年は、一つ小さく笑った後にこう答えるのだ。




「……えぇ、ご無沙汰しております。ライルさん」――と。




 


https://book1.adouzi.eu.org/n7212ik/


下記のリンクから飛べますので!!

新作も応援よろしくです(*'▽')




面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!




もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。

創作の励みとなります!


応援よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ