4.妖精剣士テーニャの現在。
(*'▽')時は流れる。
あとがきの新作、ほっこり温かい目指してますので応援よろしくです。
「テーニャも、ずいぶんと立派になったよね」
「そんなことないですよ! いつもジャックさんやリコさんに助けてもらってますから。今でも自分がパーティーのリーダーなんて、信じられないです」
その日はまた、昔馴染みの客人が店にやってきた。
出会った頃とは見違えるほど立派な青年に成長した冒険者、テーニャだ。彼はいまリンドさんからリーダーの座を引き継いで、王都最高の剣士として名を馳せている。妖精と言葉を交わし、その力を駆使して魔物を打ち倒す。
本人は謙遜しているが、その実力は誰もが認めるところだった。
そして、元リーダーのリンドさんは――。
「――でも、もう三年だっけ。リンドさんが騎士団に入ってから」
「そうなりますね。リンドさんも最初は悩んでいたみたいですけど、冒険者から騎士団入りなんて快挙ですから」
「しかも今はもう、騎士団の副団長なんだよね? 本当に凄いな」
リンドさんは三年前に、テーニャへその座を譲って騎士団に移籍した。
国王陛下直々の申し出だったそうだけど、最初こそ風当たりは強かったらしい。それも今では立派に副団長を務めているのだから、やっぱり彼は凄いと思わされた。
あの日々から五年。
そして、リンドさんが騎士団へ行ってから三年。
もうすっかり昔のことだと思ってしまうのは、ボクだけなのだろうか。
「ところで、テーニャ。今日はどうしたの?」
「あぁ、そうでした」
などと考えつつ、ボクは青年剣士にそう訊ねた。
するとテーニャはハッとした表情になりながらも、小さく笑みを浮かべる。
「ここにくると、懐かしくなって長話になってしまいますね。それで、今回の依頼なんですけど――」
そして、どこか見覚えのある剣を取り出した。
これはたしか……。
「もしかして、これってリンドさんの……?」
「はい。彼から託された剣です」
「あぁ、懐かしいね」
ボクが修繕師として、初めて直したリンドさんの剣だ。
あれからまた使い込まれたのだろう。以前に修繕した箇所は、また少しだけ解れてしまっているようにも思われた。たしかにこれは、実戦で使用するには難しいだろう。
どうやらリンドさんはテーニャを認める際に、この剣を証として授けたらしい。
そして、今回の依頼は――。
「この剣の修繕、で良いのかな?」
「はい。お願いします、ライルさん」
ボクはテーニャの笑顔に、一つ頷いた。
視線をテーブルに置かれた剣に落として、五年前に思いを馳せる。
どうやら、今回の依頼は始まりの日の気持ちを抱かせるものになりそうだった。
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「追放された最高の罠師が、新人冒険者向けの店を開いたら。~気付けば取引相手がどこもSSSランクパーティーになっていました~」
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