1.僅かに見えた希望の光。
紙コミックス1巻、再重版ですって。奥さん(*‘ω‘ *)
5月には2巻が出るらしいわよ?
応援感謝です!
また、あとがきの新作もよろしくです!!
「親子の絆は、取り戻せる……か」
ボクはジャックさんたち親子のその後を伝え聞き、夜のアトリエでそう呟いた。コルネもすでに帰宅しており、部屋の中にある音は自分の声と修繕道具を動かすもの。
時刻は今、どのくらいだろう。
もしかしたら、もう数時間もしないうちに太陽が昇るかもしれなかった。
そんな一日の境目に立ったような感覚の中で、ボクは作業の手を止めて考え込む。その内容というのは勿論、親と子の関係についてだった。
「………………」
この店を開いてから、もうずいぶんと時が流れた。
色々な依頼を請け負ってきたけど、その中には親子の絆を感じさせるものも多かったように思う。リーナとルゼインさんのように『親子になった』ものもあれば、コルネのように別たれた心を取り戻そうとする親子、というものもあった。
その他にも、兄妹や家族の絆を繋ぐような思い出の修繕を引き受けてきたのだ。
すべてに一生懸命取り組んできた。もちろん、そのつもりだ。
「だけど、ボクが本当に直したいもの、って……?」
そこまで考えると、どうしても思考が止まってしまう。
無意識のうちに考えないようにしてきたツケ、というものなのだろうか。だけど、ここまできたらもう引き返すことはできなかった。
だって、あれらのような希望の光を見せ続けられて――。
「分かってる。ボクは……」
――自身の心に、希望を抱かないわけがなかった。
今からでも、間に合うだろうか。
ボクはそう思って、一つ大きな深呼吸をした。
二度と交わることがないと思っていた。
自分と、父――シャッツ・ディスガイズの生き方という道。もしかしたらそれは、ほんの少しだけのズレが生んだもので、ボタンを掛け違えた程度のことかもしれない。
そんな、どこか根拠のない希望的観測。
だけどもボクは、それに手を伸ばしたいと思ってしまった。そして、
「お爺ちゃん、ボクは……」
祖父――ローンド・ディスガイズの手記に手を触れて、ボクは頷くのだった。




