7.ライルの過去と、深まる溝。
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「どうして認めてくれないんだ、父さん!!」
「うるさい! お前まで、あのろくでなしの後を追うのか!!」
それは、修繕師になりたいと、父に伝えた時のこと。
ボクの言葉に父――シャッツは激昂し、互いに唾を飛ばしながらの口論になった。彼は祖父のことを『ろくでなし』だと語り、罵り、そして嘲る。その上で、ボクにもそのような馬鹿げたことはさせられない、と言ってくるのだ。
しかし、そのことがボクにとっては承服できない。
お爺ちゃんは決して『ろくでなし』などではなかった。それは、むしろ――。
「父さんの方だよ……!」
「なに?」
「『ろくでなし』は父さんの方だ!! だって――」
ボクは、それまでずっと抱えてきた感情を爆発させる。
「お爺ちゃんのお見舞いにだって、一度もこなかったくせに!!」――と。
父さんは病床に伏せった祖父が、余命幾ばくもないことを知りながら。
それでも、頑として見舞いにはこなかった。結局お爺ちゃんの最期を看取ったのはボクで、葬儀こそ形式的に上げてはいたが、棺を見る父の無関心な表情は忘れられない。
そんな人に、どうしてボクは認めてもらおうと思ったのか。
そう考えてボクは、あらかじめまとめておいた荷物を手にした。
「……おい、ライル。お前、まさか――」
「ボクは自分の力だけで稼いで、修繕師になってみせる」
「…………っ!」
そして、父の声に耳も傾けずに実家を出たのだ。
◆
「そう、だったのですね」
「いままで隠しててごめん。こんな話、誰にもしたくなくてさ」
「……いいえ、話してくれてありがとうございます」
ボクの話を聞き終えたアーシャは、何故か感謝の言葉を口にする。
気を遣ってくれているかも、しれない。そう考えると、申し訳なかった。
「ライル。落ち着いたのか」
「え、ジャックさん……?」
そう考えていると、声をかけてきたのはジャックさん。
リコさんと一緒になって屋敷を出てきた彼は、どこか呆れたような表情をしていた。しかし作り物ではない笑みを浮かべて、こう続ける。
「ありがとうな、ライル。……お陰様で、清々したよ」
「……え?」
その言葉に、ボクは思わず首を傾げた。
するとジャックさんは、リコさんの手を取りながら言う。
「ライルの言葉を聞いて、さ。決心がついたんだ。――たとえ親に認められない婚姻だったとしても、オイラはリコと一緒に歩んでいこう、ってな!」
――だから、ありがとう、と。
ボクはその感謝を耳にして、全身から血の気が引いていく感覚を覚えた。そして思い出すのは、リンドさんの『誰からも祝福されたものでなければ』という言葉。
次に脳裏をよぎったのは、どういうわけか父の怒った顔だった。
「だ、だめです……!」
「……ライル?」
「ここでもし、認めてもらえないと……取り返しがつかない……!」
「……………………」
するととっさに、そんな言葉が口をついて出ていた。
ここで引いてしまえば、逃げてしまえば、きっと苦しむのは二人になる。そんな予感がボクの中に生まれて、どうにかして二人を止めないといけない、そう思ったのだ。
そして、それは二人も理解しているのだろう。
「は、はは……参ったな」
「えぇ、そうね……」
彼らは互いに顔を見合わせて、苦笑していた。
分かっている。しかし、状況が最悪なのだ、と。
「どう、したら……」
ボクはそんな二人を前に、拳を震わせるしかできない。
こうなった責任は、ボクにあった。
だから、なにか手を打たなければならない。
そう考えていた時だった。
「ライル・ディスガイズ様、旦那様がお呼びです」
「…………え?」
屋敷の使用人さんが、そうボクに声をかけてきたのは。
https://book1.adouzi.eu.org/n0367ib/
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