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6.ライルに起きた異変。

あとがきの新作も、紙コミックスもよろしくね!

(*‘ω‘ *)









「――ライル。落ち着きましたか?」

「……うん、ごめんアーシャ」

「いえ……」




 ボクはいま、屋敷の外――門の近くでへたり込んでいた。

 アーシャはそんなこちらを心配そうに見ながら、困惑した表情を浮かべている。そして、いつになく怯えているようにも見えた。

 原因は自分にある。

 さっきまで、ボクは完全に我を忘れていたのだから。



「あんなライルは、初めて見ました……」



 そんなボクのことを彼女は、そう表現した。

 たしかに、あのような姿をアーシャに見せたのは初めてかもしれない。ボクは自己嫌悪に圧し潰されそうになりつつも、何があったのかを冷静に思い出した。









「子は黙って、親の指示に従っていればいい」




 ――リカルドさんの言葉を聞いた瞬間だった。

 ボクの背筋になにか、冷たいものが伝っていく感覚がある。そしてほとんど無意識のうちに、掴んでいたジャックさんの手から自身のそれを離していた。

 そんなボクの手が伸びた先は、リカルドさんの胸倉だ。



「な! ――ライル!?」

「貴様、いったい何を……!?」



 自分でも信じられない力で、ジャックさんの腕を振り払う。

 その上で、次にリカルドさんへと詰め寄り胸倉を掴むのだった。当惑する彼に向かって、ボクは言うのだ。




「謝罪しろ」――と。




 自分でも、信じられないほど冷たい声だったと思う。

 いや、もっと正確にいえば自分の声ではなかったように感じる。何故ならこの時、ボクはほとんど身体が先に動いており、感情がさらに先を走っていたのだから。

 自分で考えるよりも、もっと先に。

 ボクは完全に、感情で行動していたのだ。





「二人に謝罪しろ、って言っているんだ!!」





 激昂しながら、ボクは叫ぶ。

 どんな顔をしていたかは、自分では分からない。

 ただ記憶に残っている範囲では、リカルドさんの怯えた表情が印象的で。そんな彼に向かって、ボクは最後にこう言い放ったのだった。








「子どもの自由を奪う権利なんて、たとえ親であっても持っているはずがない!!」――と。













「本当に、ごめん。……アーシャ」

「気になさらないでください。とりあえず、大事になる前に止められてよかったです」

「……うん、ありがとう」




 そんなボクを真っ先に止めてくれたのは、彼女だった。

 アーシャは我を忘れたボクをリカルドさんから引き離して、部屋の外、そして屋敷の門の外へと連れ出してくれたのだ。そうでもしてもらえなかったら、きっと自分は取り返しのつかないことをしていただろう。

 だから、感謝してもし切れない。

 ただそれ以上に、感情任せに動いた自分への自己嫌悪が凄かった。




「いったい、どうしたのですか?」

「………………」




 落ち込むボクを心配して、だろう。

 アーシャはとても優しい声色で、そう訊いてきた。

 しかし、ボクはすぐには答えられない。答えるべきか、迷ってしまった。



「安心してください。私は、ライルの力になりたいのです」

「アーシャ……?」



 だが、そうしていると少女はボクの手を取って言うのだ。

 力になりたい、と。




「………………」




 それを耳にして、ボクはようやく一つ決心がついた。そして、





「実は、さ――」





 少しずつ、口を動かすのだ。





「ボクも父親と、その……上手くいっていないんだよ」――と。





 


https://book1.adouzi.eu.org/n9501ia/

下記リンクから新作です。

修繕師寄り?なラブコメです(*‘ω‘ *)



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