6.ライルに起きた異変。
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(*‘ω‘ *)
「――ライル。落ち着きましたか?」
「……うん、ごめんアーシャ」
「いえ……」
ボクはいま、屋敷の外――門の近くでへたり込んでいた。
アーシャはそんなこちらを心配そうに見ながら、困惑した表情を浮かべている。そして、いつになく怯えているようにも見えた。
原因は自分にある。
さっきまで、ボクは完全に我を忘れていたのだから。
「あんなライルは、初めて見ました……」
そんなボクのことを彼女は、そう表現した。
たしかに、あのような姿をアーシャに見せたのは初めてかもしれない。ボクは自己嫌悪に圧し潰されそうになりつつも、何があったのかを冷静に思い出した。
◆
「子は黙って、親の指示に従っていればいい」
――リカルドさんの言葉を聞いた瞬間だった。
ボクの背筋になにか、冷たいものが伝っていく感覚がある。そしてほとんど無意識のうちに、掴んでいたジャックさんの手から自身のそれを離していた。
そんなボクの手が伸びた先は、リカルドさんの胸倉だ。
「な! ――ライル!?」
「貴様、いったい何を……!?」
自分でも信じられない力で、ジャックさんの腕を振り払う。
その上で、次にリカルドさんへと詰め寄り胸倉を掴むのだった。当惑する彼に向かって、ボクは言うのだ。
「謝罪しろ」――と。
自分でも、信じられないほど冷たい声だったと思う。
いや、もっと正確にいえば自分の声ではなかったように感じる。何故ならこの時、ボクはほとんど身体が先に動いており、感情がさらに先を走っていたのだから。
自分で考えるよりも、もっと先に。
ボクは完全に、感情で行動していたのだ。
「二人に謝罪しろ、って言っているんだ!!」
激昂しながら、ボクは叫ぶ。
どんな顔をしていたかは、自分では分からない。
ただ記憶に残っている範囲では、リカルドさんの怯えた表情が印象的で。そんな彼に向かって、ボクは最後にこう言い放ったのだった。
「子どもの自由を奪う権利なんて、たとえ親であっても持っているはずがない!!」――と。
◆
「本当に、ごめん。……アーシャ」
「気になさらないでください。とりあえず、大事になる前に止められてよかったです」
「……うん、ありがとう」
そんなボクを真っ先に止めてくれたのは、彼女だった。
アーシャは我を忘れたボクをリカルドさんから引き離して、部屋の外、そして屋敷の門の外へと連れ出してくれたのだ。そうでもしてもらえなかったら、きっと自分は取り返しのつかないことをしていただろう。
だから、感謝してもし切れない。
ただそれ以上に、感情任せに動いた自分への自己嫌悪が凄かった。
「いったい、どうしたのですか?」
「………………」
落ち込むボクを心配して、だろう。
アーシャはとても優しい声色で、そう訊いてきた。
しかし、ボクはすぐには答えられない。答えるべきか、迷ってしまった。
「安心してください。私は、ライルの力になりたいのです」
「アーシャ……?」
だが、そうしていると少女はボクの手を取って言うのだ。
力になりたい、と。
「………………」
それを耳にして、ボクはようやく一つ決心がついた。そして、
「実は、さ――」
少しずつ、口を動かすのだ。
「ボクも父親と、その……上手くいっていないんだよ」――と。
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