一周年記念 導入部
あくまでも導入
ふと思い返してみれば、ここ一ヶ月。一度も女を抱いてなければ自慰もしていない。一度も溜まっているものを出していないではないか。女はまあ、前から節約のためにあまり抱いていなかったのだが、自慰はそれなりの頻度でしていた。
しなくなった理由は、あれやこれやと忙しかったのもあるが、エーヴィヒが居る事が一番大きい。さすがに性別:女が居る家の中でする気にはならん。あいつは自分のことを抱けばいいと言うが、信用出来ない相手と行為をする気にもならない。しかし出さなければ溜まる一方だし。しかしエーヴィヒはそれを知ってか知らずか挑発してくるし。色々とキツイ。このままじゃ本気で押し倒しかねない。
「つーわけで、いい娼婦を紹介してくれないか、トーマス」
「死ねよ」
「どうしてそうなる」
「説明の必要なんかねえだろ。美少女と同居してて、隣には美人が居て。それでいい娼婦を紹介しろって、喧嘩売ってるとしか思えねえだろ」
「片方は殺し屋でもう片方はカニバリストだぞ?」
「知るかボケ。出てけ、帰れ、そんでもって思う存分やってこい。それから死ね。もしくは今ここで死ね」
「わかった、わかったよ。出て行くから銃を下ろせ」
「五秒数える内に出ろ。四、三、ニ」
銃を向けられては仕方がないので、おとなしく退散する事にした。ガスマスクを付けて、ブーツを履いて、外に出る。今日も天気は良くない。
少し買い物をして帰ろうか。そろそろ家の冷蔵庫も空になってきたし。やはり、人間が二人いると消費も早い。給料が増えたわけでもないので、少し厳しい。
そして、帰宅。
「ただいま」
「おかえりなさいませ」
家に帰ると、出迎えてくれる白い少女。会った時から、何一つとして変わった様子のない容姿。コロニーの中、他ではほぼお目にかかることのできない純白。コレを毎日見ているせいで目が肥えてしまい、あんな事を言ってトーマスを怒らせてしまったのだろう。
しかし事実なのだから仕方がない。
ガスマスクを外し、壁にかけて奥へ進む。エーヴィヒが後ろを付いて来る。
「今日は何をするんですか」
「買い物も終わったことだし。何もしない。一日寝て過ごす」
寝れば性欲も紛らわせる。エーヴィヒを襲わずに済む。買った物を冷蔵庫に放り込んで、ソファに仰向け寝転がって、目を閉じる。その直後にドスン、と腰の辺りに重いが柔らかい何かが落ちたので、目を開く。
「何をしてる」
エーヴィヒが、上に乗っていた。手に武器は持っていないし、そこから動くこともないので、害意はないのか。しかし、この状況で何も喋らず、ただ視線を合わせたまま過ごすのは気味が悪いので、目的を尋ねる。
「日頃のお礼をしようと」
「……体でか」
この状況で考えられるのは、それしかない。というか、こいつが持っているのはそれしかない。
「はい」
「体を売って金を持ってきてくれる方が嬉しいんだが」
「非力な私が体を売ったとして、お金をもらえるとでも思いますか」
「……いいや」
犯されるだけ犯されてポイ捨てされるか。死ぬまで監禁され、犯され続けるか、食われるか。スカベンジャー公認の売春婦達でなければ、そうなるだけだ。とはいえ、こいつを公認にさせるのも手間がかかる。
だが、他に礼の方法が無いこともないだろう。
「ご主人様に頼んで、技術の二、三個でも研究所に下ろしてやってくれ。お前を抱くより、生活の質が上がる方が嬉しい」
もしくはアースのパーツを持ってくるか。競技用のパーツは高く売れるから、あればかなりありがたい。こいつのせいで増えた生活費を全部帳消しにしてもお釣りが来る。
「それは私には出来ません。私ができるのは、私の体を差し上げることだけです」
上に乗ったまま、服を脱ぎ始めるエーヴィヒ。
もう止めないし、止めようとも思わない。俺だって男だし、さらに言えばしばらく出していないせいで、興奮の度合いがかなりでかい。おまけになかなか見れない美少女が、自分の上で脱いでいるのだ。完全に火が着いてしまった。火が着かない方がおかしい。
「どうぞ、私を好きなようにしてください」
手慣れたの娼婦のような、妖艶な微笑み。唾を飲む。そして、手を伸ばす。指先が、真っ白な肌に触れる。真っ白な指が、俺の頬に触れる。
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