オーダー35:アニオタの絆
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落ち葉舞い散る秋の鈴夏高校。
今日は1年B組に新しい生徒が転校してくるそうです。
アカネ「マユ子といい、A組のキジヨといい、最近のこの学校は転校生ブームなのか?」
水彦「小学校の方じゃコアラくんも転校してきたから、正確にはこの町そのものが転校ブームだよね。」
リスちゃん「にぎやかになるから良いじゃん♪」
シズカ「どんな子なのか楽しみだね♪」
転校生の話題でシズカ達B組のみんなは盛り上がっていました。するとそこへ、担任の上杉先生が教室に入ってきました。朝の挨拶を済ませ、上杉先生は生徒達に転校生のことを伝えました。
上杉先生「知っている人もいると思いますが、今日から新しい友達がこのクラスに加わります!さ、入って来て!」
上杉先生の優しい呼び声で、転校生らしき、男の子が入って来ました。入って来た男の子は大人しい感じに自己紹介をしました。
カオル「青島カオルです。みんなと仲良くなりたいです。よろしくお願いします。」
自己紹介をしたカオルを見て、水彦は心の中でこうつぶやきました。
水彦の心の声「なんだか悲しい目をしてるような感じがするなぁ。」
上杉先生「それじゃ青島くんは、そこの大倉くんの隣に席に座って。」
カオル「はい。」
上杉先生の指示で空いている水彦の隣の席に向かい、座るカオル。水彦はさっそくカオルに挨拶しました。
水彦「初めましてカオルくん。僕は大倉水彦。よろしくね。」
カオル「うん。こちらこそよろしく。」
水彦が話しかけ、カオルは大人しい感じに接しました。
こうしてカオルがB組の新しい仲間に加わり、あっという間に下校時間となりました。
シズカ「起立!礼!」
生徒一同「さようなら!」
上杉先生「みんな気をつけて帰るのよ。部活で残る子は今日もがんばってね!」
シズカ「ねぇねぇ水彦くん、昨日『猫耳くノ一リリアちゃん』ていうアニメを試しに見てみたんだ!思ってたより面白くて、主人公のリリアちゃんがカッコいいし、可愛いかったんだ!」
水彦「それは良かった!ピーチューブでも全話配信されてるから、他の回もオススメだよ!」
シズカ「ありがとう!見てみるね!」
アカネ「なんかシズカも後々アニオタになりそうだな。」
授業が終わり、廊下でアニメの話題をしながら帰って行くシズカ、アカネ、水彦の3人。するとそこへカオルがやって来て、こうたずねました。
カオル「君達、今、猫耳くノ一リリアちゃんの話してなかった?」
水彦「ひょっとしてカオルくんもリリアちゃんが好きなの?」
カオル「リリアちゃんもそうだけど、色んなアニメや特撮も好きなんだ!」
水彦「マジで!?じゃあ僕ら同士じゃん!」
なんとカオルがアニオタだと知り、水彦は大喜び。
カオルを含めた4人で色んなアニメを話題をしながら下校し、そのままカフェチャーミーキャットに来店しました。
カフェの中でもアニメの話題で友情を深める水彦とカオル。さらにそこへ、グリルひまわりの元太とマーメイド女学院のアオネコちゃんも加わり、ますます盛り上がっていきました。ちなみにシズカは制服の上にエプロンを着て働いており、アカネもお客として来店していました。
元太「まさか新しい転校生がオレらと同じアニオタとはなぁ!」
アオネコちゃん「同じ志を持つお友達が増えて嬉しいですの!」
カオル「僕も転校初日にアニメ好きな人に会えて嬉しいよ。」
水彦「しかも今日は仕事の都合で休んでるけど、人気声優のマユタンもうちの高校に通っているんだ!」
カオル「えっ!?マユタンってフォックスヘブンズのモモカちゃんの声でお馴染みの、あの田中マユ子ちゃん!?」
声優であるマユ子が鈴夏高校の生徒であることに驚くカオル。どうやらマユ子のことは知っているものの、
鈴夏高校に通っていることまでは知らなかったようです。
水彦「明日は登校できるみたいだから、紹介してあげるよ!」
カオル「ありがとう!楽しみだな〜!」
本物の声優と同じ生徒として会えることにワクワクするカオル。そんなカオルに水彦はこうたずねました。
水彦「ようやく生き生きとした表情になってきたね。」
カオル「え…?」
水彦「今朝のカオルくん、なんとなく悲しそうな感じがしてたんだ。過去に何かあったの?」
カオル「実は…その…。」
カオルは過去に起きた出来事を水彦達に話しました。
カオルは中学のころ、アニメ好きというだけの理由で、周りの友達からキモいとか幼稚などバカにされ、それ以来、人前でアニメや特撮の話題をするのをやめてしまったのです。
シズカ「カオルくんにそんな過去があったなんて…。」
アカネ「いるだよなぁ、そういうムカつくヤツら。」
カオル「この町にはアニメ好きの人達がいるから安心だけど、社会人になった後、またアニメが好きなことでバカにされるのが怖いんだ…。」
再び悲しい表情になってしまったカオル。
そんなカオルを水彦は励ましました。
水彦「ありのままの自分でいて良いんじゃないかなぁ?今のアニメや特撮は子供達はもちろん、大人にも人気があるし、幅広い年齢の人達に夢と希望を与え続けているんだ。周りの人達の悪口なんか気にせず、自分が好きだと思うものをとことん愛し続ければ良いんだよ!」
カオル「水彦くん…。」
さらに水彦に続き、アオネコちゃんと元太もカオルを励ましました。
アオネコちゃん「水彦先輩の言う通りですの!カオル先輩はもう1人ぼっちじゃないですの!」
元太「アニメや特撮の話題もそうだけど、悩みだっていつでも聞いてやるからよ!」
カオル「アオネコちゃん…元太さん…。うぅ…。」
すると水彦達の励ましに感動したのか、カオルの目から涙が流れました。
アオネコちゃん「ミュミュっ!?泣いちゃったですの!」
水彦「僕達なんか変なこと言っちゃった!?」
カオル「いや、違うんだ…。両親以外の人達にこんな勇気づけられたのすごく久々で、ついに涙が出ちゃったんだ…。」
カオルの流した涙は嬉し泣きの涙であることに、水彦達は安心しました。
そこへ、こねこちゃんがやって来て、カオルにプリンを差し出しました。
こねこちゃん「カオルくん、プリンどうぞ!」
カオル「プリン?頼んでないけど良いのかい?」
突然プリンを差し出され、疑問を抱くカオル。
そんなカオルに春人はこう言いました。
カオル「うちからのサービスさ。それにこねこちゃんの作るスイーツは絶品だからね⭐️」
カオル「わざわざありがとうございます。では、いだきます。」
こねこちゃん特製のプリンを食べてみるカオル。
プルプルとした食感に、苦くて甘いカラメルソースが口の中で、カオルの心を癒していきました。
カオル「美味しい…!こんな美味しいプリン初めて食べたよ!」
こねこちゃん「やったぁ♪」
プリンを食べたカオルは、再び笑顔を取り戻しました。
元太「さて、新たな同士・カオルが元気になったところで、アニメや特撮の話題を再開しますか!」
水彦、アオネコちゃん「賛成!」
春人「ゲンちゃん、あんまり大きな声で話すと、またハムスターさんに怒られるよ。」
元太「分かってる分かってる!」
こうして水彦は、カオルという新しいアニメ仲間ができ、カオルも水彦達のおかげで自分の好きものを愛し続けることの喜びを改めて実感したのでした。
水彦の心の声「カオルが元気になって良かった。この時の勇姿、マユタンにも見せたかったな〜♪デヘ、デヘデヘ♪」
マユ子のことを想像している水彦は、ついつい変なかおになっていました。
シズカ「なんか水彦くんニヤけてない?」
アカネ「どうせマユ子のことで妄想してんだろ。」
今回はアニメや特撮好きの人達も共感できるようなお話にしてみました!次回はハロウィン回の予定です!




