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第四十五話 百人も要らないけどせめて一人か二人は!

 次の日、私は一人席に座ってクラスメイトを観察していた。まだ二日目だと言うのに皆思い思いの制服の着こなし方をしていて、服装ってやっぱり性格出るね。私のはお母様の趣味が多量だけど。

 そもそも私は今まで友達と言う友達が出来たことがない。ケイトとネリエルくらいで。

 うん、二人とも男の子。女の子の友達一人もいない。

 女の子の友達ってどうしたら出来んの?ただでさえ友達作る気力少ないのに、女の子相手とかした事ないよ。絡まれた事ならあるけど。


「マリアベル様、おはよー!」


「ごきげんよう、サーシア様」


「サーシャ、おっはよー」


 お隣さんは人気者ですね……私に挨拶した声に反応してすぐに人が集まって来た。

 皆元気だなぁ……精神年齢おばさんの私はついていけない気がするよ。ケイトには物凄く子供扱いされてるけど、それはそれ、これはこれ。

 特に中学生の女の子なんて全く未知数。まだ男の子の方が分かりやすいと思う。私が、と言うより男女比としてね。


 どうしよう……かなぁ。


 別に友達の作り方がさっぱり!とか言うつもりはない。一応ネリエルとも友達になったし、こう言う時は一にも二にもまず話しかける事が重要だ。

 ただそこで、一つの懸念がありまして。


 私……怖がられないかなぁ。


 ゲームのシナリオに入るまで残り約四年。

 女の子の成長を考えると、私の外見はそろそろ『悪役令嬢マリアベル』の完成形に近付いて来ている頃だろう。

 良く言えば大人びた美少女。事実だけを言うなら、歳不相応な妖艶さとぼーっとしているだけなのに睨んでいると思われる目付きの悪さを兼ね備えた悪女顔。

 前者後者の差が凄いな、でも事実。どっちにしろ中学生離れしてるって事です。

 過去五周で自分の容姿を客観視出来ていた分相手に与える印象も心得てるんだよ。

 

 それを思うと迂闊に声をかけられない。

 何事も初めが肝心、第一印象って重要。容姿ポイントで減点されてる分他で挽回しないと。


 一番何の気無しに声をかけ易いのはお隣さんだが……言わずもがな、却下。

 私の席は六列ある内の真ん中。片側はサーシアだが、もう片側のもお隣さんはいる。しかも女子!

 まだ来ていないけど、まず挨拶をして様子を見てみよう。昨日はサーシアに気をとられてどんな子か覚えてないけど……そんなに自己主張の強い感じじゃないといいなぁ。 フランシア様みたいなのが来たら詰む。


 期待と不安と、ちょっとやけくそな気分で待つ事数分。

 

「ごきげんよう、マリアベル様」


 すぐ隣から、声がかかった。

 サーシアとは逆側の隣から、可愛らしい女の子の声が。

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