賊と俺と時々火の玉

はいどうも皆さん、毎度同じみ俺です

あれから数日間、すっごく居心地悪かったです

あの黒ローブのせいでイースさんが不機嫌のままだわ、そんな時に限って追い剥ぎやら盗賊やらがゾロゾロやって来るし

でもまぁ機嫌の悪いイースさんに喧嘩を売ったのが不味かったわな、ファイアウォールで丸焦げにされた挙げ句そこら片の木に縛り付けられてたよ

そんな事があったおかげか、鬱憤晴らしが出来たからか知らないけどいつもの様子に戻りましたとさ

え? アークの野郎はどうしてたのかって? いつものように人に火の玉を飛ばしてたよチクショウ!

「なにさっきから一人で百面相してんだ、気持ち悪いぞ」

「気持ち悪いってお前なぁ」

「事実だろ、普通にしてても愉快なんだから」

愉快ってコイツ、いい加減にしないと泣くぞ盛大に泣くぞ

良いのか泣いても、女体化して泣くから端から見たら女を泣かした酷い男に見えるぞ

それでも良いのか餡ころ餅!

「ファイアボール、何かムカついた」

「あつっ!? あっつぅい!!」

「遊んでいると置いてくぞ～」

そういうなら助けて下さい! 近くにあった切り株に座ってないでさぁ!!

しかも木陰だから気持ち良さそうな風吹いてるし、何なのあの人自由過ぎるよ

「お前にはこれが遊びに見えるか」

「見えるから遊びと言っている、そんな事よりさっさと次の目的地に向かうぞ」

「チッ、寝てないで行くぞ。死にたいなら寝てても構わないがな」

「誰のせいで俺が倒れてるのか少しは考えるか、心配しろよ!!」

「するだけ無駄だろ」

おまっ、ホント俺の扱いだけ悪いなおい

もう少し優しくしてもバチは当たらない、というか優しくしないと当たるぞ

「いたっ!」

「マジで当るとか、しかも木が倒れてくるって凄いわ」

「…どうやらつけられてたようだな」

はい? つけられるってあれですか、恨みを持った人物に追いかけれる的なやつですか?

そんな、俺達恨みを買うような事なんてこれっぽっちも…

してましたわ、さっきおもいっきり盗賊やらをぶっ飛ばして辱めた的な事言ってたじゃん自分

というかそれなら俺関係ないよね、だって全部アークとイースさんがやったことだもん

「私達と一緒にいる時点でアウトだろ」

「よし、ちょっと見て来い」

「嫌だよ! お前はもう少し下敷きになってうわっちぃ!?」

「ちっ、外したか…」

「敵はアッチだろ、それに構う前に片付けてこい」

流石だわこの人、仲間が木の下敷きになろうと燃やされかけようと一切ぶれやしない

たまには心配してくれてもいいのよ? というかしてください

「そういうならお前も手伝え、原因はお前だろ」

「面倒だから断る、代わりにコイツを使え」

「俺はアイテムか何かですか!?」

「……まぁ、少しは役に立つか。というわけで跳んでこい!」

「人を蹴り飛ばすんじゃねー!!」

へぶっ、あんにゃろ本気で蹴りやがったな

さてどこに不時着……あぁなるほど役に立つって囮って意味ですかふざけんな

盗賊の皆さんもいきなり降って来た美少女に驚いてるじゃないですか、ほらどうするか相談までし始め…ってヤバイ逃げよう

「逃がすな! 久々の女だ捕まえろ!!」

「ヒャッハー! ペットにしてやるぜ!」

「誰がなるかバカ野郎ども! あと俺は男じゃぁ!!」

「見た目よければ性別なんて関係ねえ!」

こいつ等男の娘もイケる口かよ最悪じゃねーか、とりあえず逃げながら今出来る事を考えよう

戦うのは無理、絶対負ける。次にこのまま逃げ続ける、回り込まれたら終わる

いっそのこと捕まる、のは無しだわ。それやったらR18コース一直線だし

最後、アークの野郎に丸投げ

うんこれだ、でもどうすれば…いい手があったわ

「お前等とまれ! 俺みたいなちんちくりんよりこの美人の方が良くないか」

「この写真は…」

「確かに、緑の髪にどこか照れた表情…そそる」

「この美人はだな、あのハーフエルフが女装した姿だ! 屈服させりゃ好きにしていいぞ!!」

『ヒィヤッヒョー!!!』

よし、これで俺の身の安全は確保されたな

アークの野郎は知らん、人を投げた罰だ思い知れ

で、それから一時間程経って

「ばたんきゅ～」

「情けない、たかがファイアボールを一人五発食らっただけだと言うのに」

「お前には特別コースだ、よくも人の黒歴史を…」

黒歴史って言葉こっちでも通用するのね、あとなんでそこまで怒る

俺なんてDTの前に処女奪われそうになったんだぞ、それに比べたら女装写真の一枚や二枚我慢しなさいな

とか考えてたらなんか大きい火の玉が目の前に出来てるんですが、えなにそれてかまだ大きいなってるんでけど!?

「いやいやいやムリムリムリ!! そんな大きいの入らないいややめてちょホントにやめっ…」

「よし」

「…とりあえずあれだ、答えの出ないことに悩んでも無意味だな」

なんとかいつものイースさんに戻りました、けどアークはやっぱり許さない…ガクっ