イースさん無双
はい、今回軽い戦闘があります
主人公の影がむっちゃ薄いです、真面目なシーンになると空気になる主人公って…
あと、この作品は基本的に中二脳全開で書いてるので結構アレです
特に今回酷いからね!注意してね!
視点転換激しいです、こちらもご注意を
「足元がスースーして気が入らん」
「我慢しろ、宿までの我慢だ」
現在宿を探してます、町に入ってすぐに宿があると思ったらなかったんだよ
見た目が派手だったりどう見てもアレなホテルだったり、碌でもないのしかなかった
そんな所に入ったら俺達の何かが失われる、という事でボロくてもいいから普通だと言える宿を探してます
「もういっそのこと、さっきのホテルで」
「それだけは勘弁してください、泊まった翌日には俺の処女が奪われたとかなりかねないんで」
「それはないが、何かされるのは確実だ」
「むぅ、なら他にあるのか」
この人たまに可愛くなりますよね、今だってむすっとした表情で腕組んでるし
ギャップって凄いわホントに、ほらアークもなんか顔背けて考えるフリしてるし
顔少し赤いですよアークさんや、なんですか意識しちゃいましたか?
「変な事考えてないでお前も考えろ、後俺は意識などしてない」
「人の思考読むなよ気持ち悪い…ほら、あそことかどうよ? ちょっと見た目古臭いけど、今まで見つけたのよりかはまともそうだし」
「そうだな、そこにするか」
「決まったなら行くぞ、早く私も休みたい」
そう言いながら早足でむかうイースさん、ってちょ置いてかないで! そんなにあのカップルで行きそうなホテルに行きたかったんですか!?
ーーーーーーー
「なんとか一部屋相手て助かりましたね」
「そうだな、ということで情報収集は頼んだぞ」
「また俺か! 少しは自分で動こうと言う気は「ない」…くそっ」
「じゃ、頑張ってこいや」
「お前は来い」
「ちょ、引っ張るな引きずるな! 見える、中身見えちゃうから!」
なぜか俺まで情報収集する事になりました、ちくしょうなんでだよ
あと階段降りた辺りでやっと離してくれたよ、あれだね下が見えるのって妙に恥ずかしいのね
ーーーーーー
「…なるほど、最近魔物が進入してくるのですか」
「そうなのよ~だからか知らないけど、騎士団が偶に徘徊してて」
「ふむふむ、でその騎士団というのは?」
「あれよ」
指を指された方向を向くと、鎧を身にまとった女性が数人いました
腰に剣も刺してるし、多分あれが騎士だろうな~
なんか隊長っぽい人がこっちに向かって来てるんですが…ってお姉さんなぜ逃げてるのおいてかないで!?
「少しいいかな?」
「えと、なんでしょうか?」
「魔の者を見てないだろうか」
「魔の者って、魔物の事でしょうか」
「いや、悪魔族…いや魔族の事だ」
おいおいおい、この騎士様なんかとんでもない事聞いてきたよ
魔族ってあれですよね、強い力を持った悪魔族の事ですよね? おもいっきり知ってるし今宿で待機してます
とは言えないから、ここはとぼけようそうしよう
「いえ、見ませんでしたが…」
「そうか、ならいい」」
「あの、よろしければ、なぜ探してるのか聞いても?」
「奴らは悪、悪は罰せられる運命、この騎士である私がこの剣で奴らを斬る」
「はぁ、それで…なぜ魔族を?」
「簡単な事だ、魔族を捕らえ奴等の王の居場所を聞き出しそいつを討つ。それが私の使命だ」
うおーい、この騎士様正義感が凄すぎてなんかダメな方向に向かってるんですけど!
なに使命って!? なに罰せられる運命って!? 言ってる事カッコイイけどやろうとしてる事最低だよこの人
早く逃げよう、そしてさっさとこの町から出ていこう
じゃないと変な事に巻き込まれる
「そ、それは大変ですね。では私はこれで」
「あぁ、それでは」
ーーーーー
「という事で、危ない騎士様が徘徊してるので早く次行きましょう」
「確かに、あまり長居はしない方がいいな」
「その騎士にお前の事がバレたりしたらとんでもなく厄介な事になるぞ」
その通りでっせアークさん、だから早く逃げましょう
もうこの際、鳥系のものに変化でもしてイースさんだけ連れて逃げるから
アーク? 捨て駒か生贄にでもなって鮮やかに散ってくれ
「なんか邪な事考えてるな、後で火達磨な」
「いつもの事だろう、それより出るぞ」
「火達磨もセットでいつもの事なのね…」
「泣く暇があったら準備しろ、十秒以内にできたらやめてやる」
「準備完了しました!!」
ーーーーー
あのあとすぐに町をでようとしました、だけど捕まりました
誰にって? さっきの騎士様じゃないよ、じゃあ誰かって?
今からお教えします…
「またお前か黒ローブ魔族! ストーカーかお前は!!」
「ストーカーとは失礼な、私はただ彼方方の力を知りたいだけですよ。あのドラゴンの弱点を見事に見抜いた、弱小な貴方も含めて」
「ここでは被害が増える、開けた場所に行くぞ」
「その必要はありません、今回貴方達の相手をするのはある力に固執した愚か者ですから」
「なに…?」
「後ろだ、下がれ!」
アークの叫びと同時に下がる、すると今さっきまで俺とイースさんがいた地面に亀裂が入った
なんだ、いったいなにが起こったんだよ
というかまた消えてやがるしあの魔族! こんどあったら覚えとけよ!
「おい、貴様が言ってたのはあの騎士か?」
「どれどれ…確かにそうだけど、あんな素敵に眼を光らせながらこっちに剣を向ける人ではなかったかと」
「魔剣を握らされたか…なるほど、確かに力に固執した愚か者だな」
「え~と、どういうことで?」
「騎士は魔を滅ぼす事を己の使命だとか言っていたのだろう? そんな人物の所に、魔の者に対抗できる剣が転がりこんで来たら手を伸ばしたくもなる。それが欲に弱い一族なら尚更だ」
なるほど、つまり騎士様はあの訳の分からない魔族に唆されたということか
というか、さらっと人間は欲に弱いとか言いませんでしたか?
たしかに物語の主人公並の精神持った人なんて見たことないけどさぁ…
「二人は下がってろ、相手の眼中には私しか映ってないようだからな」
「わかった、行くぞ」
「はいよっと」
ーーーーー
あれぐらい離れてくれれば十分だな、さて今は目の前の愚か者に集中するか
「殺す消す倒す殺す殺すコロスコロスコロス…」
「愚かを通り越して哀れだな、共存という道もなくただ滅ぼす事しか考えてないとは…」
だからこそあんなやつに利用された、その現実も今の騎士は認めないだろうがな
プライドと周囲の期待に応える為に剣を握ってきたのだろう、だがそれが在った筈の可能性を消していき一つの事だけに執着してしまった
…愚か者は奴と周囲の者達のようだな
「こい、その呪縛から解放してやろう」
「ホザクナァ!」
「ふん、その程度か」
ただ突っ込むだけか、剣に支配されてるせいで本来の力を発揮出来ないか、または残っている理性で抵抗してるのか
後者ならいいが、そこらは騎士の精神が強くあるかどうかだな
「ケス! コロス! シネェ!!」
「物騒なやつだ、だがそんな大振りでは当らん!」
騎士の攻撃をいなし蹴りを入れる、まずは魔剣の力を発揮させなければ意味がない
でなければ気絶させても剣に意識を奪われただの操り人形にされる、だがどうやって吐き出させるか
まぁどうにかなるか、流れに任せてみるのもまた一つの策だ
「アァァァ!!」
「だから、力任せでどうにかなるほど私は弱くないと言ってるだろ!」
響く金属音と叫び声、野次馬のように群がっていた住人も今は避難している
責任は全て操られた者が悪いとでも思っているのだろう、決して自らは悪くないと考え非難し己等の住処から追い出す
…悲しいな、妙な結束力を持った人間達の起こす事はいつも決まっている
「私が血も涙もない、悪魔なら良かったのかも知れないな。そうであれば、他人に起こる後の苦しみも考えずに済むのに」
「お前ハ、違うとイウ…のか」
「意識を取り戻し始めたか、なら早く魔剣を捨てろ」
「これヲ捨てて、どうなるっ!! 貴様ラを消す力があるのニなぜ捨てさせル!!」
「争う事しか考えられないのなら、貴様は私等以下だ」
「ナン、ダトォ!!」
少し挑発しすぎたか、さっきより殺気が強くなったな…別に洒落ではないからな
だが好都合だ、思考が単純になってきた今なら話も素直に聞くだろう
「周りを見てみろ、誰が今の貴様を応援している。どういう目で貴様を見ている」
「町の…皆ガ…」
「ヒッ!?」
「ば、化けモンだ…騎士様も化けモンだったんだ!」
「見るな! こっちを見るなぁ!!」
「な…ナゼ…私は…」
「力を求めるなとは言わん、だが求め方を間違えるな。今の自分がどういった力を欲しているか、理解しているだろう」
ーーーーー
「力を求めるなとは言わん、だが求め方を間違えるな。今の自分がどういった力を欲しているか、理解しているだろう」
私が求めている力…私が、欲している力…それは…
[殺す力、全ての悪を殺す力だ]
違う、私が本当に欲しいのは…
[壊せ、その力で殺せ壊せ自分を認めない全てを壊せ]
違う、求めてたのは…壊したかったのは…
[目の前の悪を殺せ、目の前の魔族を殺せ]
壊したかったのは…
[殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ壊せ壊せ壊せ壊せ、全てを! 自分以外の全てを、消せ]
「力に溺れるか、貴様の騎士としての誇りはそんな魔剣に負ける程度の物だったのか」
「私ハ…騎士、誇り高き…」
そうだ、私は…
[コワセコワセ、全てをコロセ]
私は誇り高き騎士…
私が求めてたのは、守る力だ…
こんな妙な剣に頼るのではなく、私自身の力を…この町の者を守るために
[余計なものはいらない、お前はただの道具…操り人形だ]
違う、私は私だ
[だがもうお前の腕に同化している、離す事など不可能]
なら、こうするだけだ
「おい悪魔…私ノ、腕を斬レ…!」
「それしかないのなら、やろう」
「同化していル、その内肉体を乗っ取らレ…ダカラ…!!」
「…すまない、行くぞ」
「あァ」
ーーーーー
「あァ」
自我を取り戻したのがもう少し早ければ…いやそれでも遅いか
人の肉体に同化するなどあの類には息を吸うぐらい簡単な事、幾ら早めに取り戻した所で手にした時点で既に準備は終わってただろうな
それよりも今は騎士だ、早く済ませないと更に苦しむ事になる
「はぁ!!」
「くぅ! ああああああぁぁぁ!!」
[貴様ぁ! よくも、よくもぉ!!]
一振り、騎士の腕が宙に飛び鮮血が吹き出る
苦しみに耐える騎士の手当てをしてやりたいが、それより先に魔剣の始末だ
「言え、貴様を作ったのは誰だ。なんの目的がある」
[誰が言うか、こんどはお前の肉体をいただいてやる!]
「そうか、なら…滅べ」
[そんな剣でこの俺が斬れるわ…け…]
「残念だったな、コイツは特別だ」
ーーーーー
「手当てまでして貰って悪い、元は私の心の弱さが招いた事だというのに」
「きにするな、とは言ってもするだろうな。だからこれだけは言っておくぞ、人も私等も変わりはしない」
「それはどういう…」
「人間に善がいるなら悪がいる、私等も同じように善と悪がいる」
「そうか…私は、偏見でお前達を見てたのか」
「これから間違えなければいいだけだ、善と悪を見極める目も持っているだろう」
「あぁ、持っているとも」
昨日の敵は今日の敵って言うけど、正にこの事ですな
というかすっごく仲良いんだけどあの二人、なに殴りあった末の友情とかそんな感じ?
「それより、これからどうする気だ。もう町には戻れないだろ」
「一度本国に戻ってまた1からやり直そうと思っている、片腕では今までのように動けないしな」
「そうか、ならもう用はなくなったな。俺達も行くぞ」
うわぁ、すっごく空気読めてないよこのエルフ
ほら騎士様なんか「もう行っちゃうのか」みたいな事呟いてるじゃんか、もっと優しくなれよ
「そうか、なら名前を教えて欲しい。私の名は次会った時に伝えよう」
「イースだ、ではまたいつか」
「また、いつかな」
イースさんと騎士様が別れの挨拶をしたのを合図に歩き出す、騎士様のどことなくすっきりした顔が見えなくなるまで誰も口を開く事はなかった
そして大分歩いて見えなくなった頃、アークが口を開いた
「あの魔剣、あれはなんだ」
「あれは手に持った者の憎悪や悪意、欲望に告げ込み肉体を支配していく物だ」
「そうか…」
そしてまた誰も喋らなくなった、というより下手に口を開けない
なぜなら、イースさんから微妙ながら殺気が出ている
命をオモチャのように扱ってる黒フードに対してなのか、それともあの魔剣を作った人物に対してなのかは分からない
けど一つだけ言えるのは、すっごい空気が重いです助けてください
数日後には機嫌治ってるといいなぁ
はい、騎士様のシーンとかイースさんの説得的なのを書きたかっただけです
そしてまたでた黒ローブ、コイツが出ると毎回碌な事ないですね
魔剣についての補足はこんな感じです
今回のような自我をもった魔剣は作り主の意識や思考がトレースされている
、だから作り主を殺さない限りああいったタイプの物が次々と作られる
基本こういうタイプのは他者の肉体を乗っ取り作り主の操り人形にする事を目的として、使われる
だいたいこんな感じです、あとイースさんの持ってる剣については後々本編で明らかになります
騎士様はもしかしたらどこかで出るかも…?
ではでは、また次回でお会いしましょう




