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人のつながり


「いや〜、やっと見つけた」


寂しい空気に包まれた教室に一人の声が響く


「え、芽依さん、と麻衣さん?」


ひどい脱力感で動かしたくなかった首を声のした方へ向けると二人が立っていた


「な~にしてるの?こんなところで」


麻衣さんが俺に質問してくる


「何もできないからここにいます、お二人はどうしてここに?」


ここにいることが良くないことだとわかっているのに行動できない自分の心を見透かされたようで言葉遣いが悪くなる


「教室に行ったら優愛ちゃんがいたから純平くんどこ?って聞いたらいないって言うからさだとしたらここだろうって芽依が」


麻衣さんはそれだけ言うと俺の頭を優しく撫でてくれた


「俺、逃げちゃったんです」


安心したのか、不思議と言葉が出てくる


「俺唯さんと男の人が一緒にいるのが見えて、行動する勇気もなくて、ただ見てることしかできなくて、俺どうすればいいんでしょうか、」


「そっか、そっか、それは辛かったね、別に逃げることは悪いことじゃないよ、当事者達が幸せなら、逃げることで幸せになれるなら私はいくらでも逃げ道を探すよ、でもさ、純平くん今幸せ?」


ゆっくり、ゆっくり、俺の心に語りかけるように麻衣さんは話す


「幸せじゃないです、でもどうしたらいいかわからなくて」


「逃げて後悔してるなら立ち向かわなきゃ、」


「立ち向かう、俺にできますか、」


「できると言いたいところだけど、その足じゃ危ないよね、私まだおんぶぐらいだったらできると思うんだ、芽依、無理だったら助けて」


「了解!」


声高らかにそんな言葉が聞こえる


「俺いつも助けてもらってばっかりで、いいんですか、」


「私は困ってる人がいるから助けてるわけじゃないよ、純平くんだから助けてるの、元々人って一人じゃ生きられないからね」


「私も純平くんだから助けてるんだよ?」


横から芽依さんも加わる


「ありがとうございます」



「おい純平、自分の女ぐらい自分で守れよ」


教室のドアから声が聞こえた

今振り返ると懐かしいような嫌なような

そんな記憶の中で聞いた声

この教室で喧嘩をしたそんな相手の声だった


「裕翔なんでここに」


「あ?クラスで少し噂になってることがあってよ、あの腹立つ先輩がめっちゃ可愛い人となんか揉めてるっぽいってさ、んで気になって見に行ったら

あの女お前と動物園で一緒にいたやつだろ?

とりあえず早く行ったほうが良さそうだぞ」


裕翔はあんなにするぞと言わんばかりにそこに立っている


「なんでそれを俺に、、俺のこと嫌いなんじゃ」


裕翔の顔が少し不機嫌になる


「お前のことは嫌いだよ、だけどなお前の女に対する考え方は響いたんだよ、あん時のお前は正直かっこいいと思った、だけど今のお前を見て少し失望した、だけどまぁ俺あん時のことまだ謝ってねぇからさ、そのなんつうか、」


裕翔の言葉がつまる


「そっか、ありがとう」


「ほら、早く行くぞ、」


裕翔は少し不機嫌そうだけど楽しそうにも見えた


「ごめんなさい、芽依さん、麻衣さん、」


「前唯姉に言われただろ、こういうときは謝るんじゃなくて感謝だろ」


「そうでした、ありがとうございます芽依さん、麻衣さん、」


「そうそう、それでいいんだよ」


「ふふっ、私頑張るね」


麻衣さんはそう言うと腰を屈めてポンポンと手でそこを指すように叩いた


「よろしくお願いします」


「うん、」



俺たちは裕翔に案内をしてもらいながらその場所に向かった



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