私が出した答え
※唯さん視点の話になります
純平くんに無理をさせてしまった
もちろん無理をしてほしくなかった
もう怪我をしてほしくなかった
また私のせいで純平くんが怪我をしてしまった
私のせいだ、私のせいだ、
私は純平くんに恩返しができているのだろうか
迷惑ばかりかけていると思う
私が近くにいると純平くんは幸せにならない
今は自分がしてしまったことを悔いるしかできない
「ごめんなさい、ごめんなさい」
私は純平くんの手を握りながら何回もつぶやく
涙で顔も声もぐしゃぐしゃだ
人前に出れるような状態ではなかったが
今はとにかく純平くんが目を覚ましてくれればそれでよかった
「大丈夫ですか?」
そんな様子の私を不思議がったのか
はたまた心配してくれたのか
そう声をかけてくる
だけど私はそんな声には耳を傾けずただ
「ごめんなさい、ごめんなさい」
とロボットのようにただ繰り返した
「唯さん」
それから少しすると、そんな声が聞こえてきた
それでも私はただ言葉を繰り返した
「唯さん、落ち着いてください、」
純平くんにそう言われ初めて自分がおかしかったことに気がついた
「ごめんね、本当に、」
それから数時間後
意識がはっきりしてきた純平くんに謝った
こんな言葉じゃ足りないのはわかっているけど
私にできることはこれしかなかった
「俺すごくないですか、場所わかりましたよ」
話の流れを変えるように、
純平くんが元気を装ってそう言った
また、私は純平くんに気遣われてしまった
本当、私はだめだと思う
純平くんはすごい、
本当にすごい、
優しくて、気遣いができて、
私にはないものを純平くんは持っている
純平くんに恩返しをする以前に足を引っ張っているんじゃないだろうか、
そう思うと私は酷く自分のことが嫌になった
「それに比べて私は、」
そんな言葉が口から出てしまう
そうしたら、
「唯さんがすごい人だから、俺できれば頼りたくなくて、自分の力で解決したくて、だから今回のことは、はっきり言わなかった俺が悪いのでそんなに自分を責めないでください」
純平くんがまた、私を励ましてくれた
純平くんの明るい心は私にはまぶし過ぎた
「嬉しくて、ただ嬉しくて、」
私は純平くんの頭に手を置くとゆっくり、ゆっくりと撫でた
私は不意に笑顔がこぼれてしまった
今まで純平くんと過ごした日々を思い出していた
期間だと短く感じてしまうけど
私のこれまでの人生の中では最も濃かった期間だった
私もそろそろ答えを出さなくてはならない
「ごめんね、ちょっとトイレ行ってくるね、」
純平くんにそう言うと私は一旦病院の外に出た
スマホを取り出し母に電話をかける
「もしもし、お母さん、私今年いっぱいでそっちに帰るよ」
私がそう伝えると母は驚いていたがすぐに電話をきってしまった
私が隣りにいると純平くんが輝けない
見ていると多分優愛ちゃんのほうが純平くんには良いと思う
自分が悪役になってでも家族を守りたい
そんな人だったら純平くんの隣に立てると思う
私はこの辺でこの船から降りようと思う
私は純平くんにふさわしくないから
部屋に戻ると純平くんが寝ていたので
これで最後と
と自分に言い聞かせて
純平くんと私の顔を近づけさせて
私の熱を純平くんに移した




