温かい部屋
色々夢中になっていて時間が分からなかったので確認すると午後の1時くらいだった
あれからほとんどまる1日経っているという現実に不思議と笑みがこぼれた
「どうしたの?」
不思議そうに唯さんが聞いてくる
「別に大したことじゃないんですけど、あれからもう一日経つんだな〜ってまだ少し足りませんけど」
唯さんはどこか遠くか、はたまたすぐ近くなのか
どこに思いを馳せているのか分からないが
少し上を向いて答えた
「そうだね〜時間の流れは早いね、」
唯さんはあれからずっと隣に居てくれた
俺が目を覚ましたときも、それからも、
隣を見ると必ず目があった
当たり前のように唯さんがいてくれる現実が嬉しかった
だけど、それが嫌でもあった
唯さんの時間を縛っているようでとても嫌だった
「唯さん、ずっとここにいなくてもいいんですよ?俺はもう元気だし、一様今日は入院するってことになっちゃいましたけど、」
「大丈夫、私がここに居たいだけだから、
純平くんは私がここに居るの嫌?」
嫌な訳がない
多分唯さんも俺が嫌と言わないことは分かっているだろう
だから、少し小悪魔的な微笑みで聞いてくる
「唯さんと居るのは嫌じゃないですけど、唯さんの時間を縛っているのが嫌で」
「そっか、純平くんは優しいね」
唯さんはそう言うと、とびきりの笑顔を見せた
まるで小悪魔から大天使にジョブチェンジしたようだった、
俺は少し照れくさくなり目線をずらした
ずらした先には
少し入りづらそうにしている病院の先生がいた
「あの〜体調大丈夫ですか?」
この先生は最初見たときとても体が弱そうで心配になってしまった
時間が過ぎる内に喋り方や内容、態度などでとても良い先生なのが伝わってきていた
ここが病院だと気づいたときは少し緊張したが
この先生のお陰である意味家のようにくつろぐことができている、
この先生には感謝しかない
俺と唯さんのやり取りが見られていたと知り恥ずかしくなってしまった
横目で唯さんの方を見ると、唯さんもチラチラこちらを見ており右手で前髪を触っていた
「大丈夫です!」
俺はそれをアピールするため努めて明るく振る舞う
「それは良かったです、なにかあったら呼んでくださいね」
先生はそう言って退出してしまった
「唯さんも照れるんですね」
「それはそうだよ!私だって、恥ずかしいことはあるし、、」
唯さんはまだ前髪を手でいじりながらそう答えた
「幻滅した?」
「嬉しくなりました、」
「なんで?」
「俺も照れてたんで唯さんとお揃いだなって」
俺がそう言うと唯さんは頬を赤くして別の場所を向いてしまった
静かになった病室は俺が目を覚ました頃の冷たいような雰囲気ではなく今は桜が咲きそうなほど温かい雰囲気になっていた
俺はこれから来る文化祭、その先のことについて考えていた
手紙のことを唯さんに言えないからモヤモヤしているのかと思っていたけど、そうでもないらしい
俺はこのモヤモヤする気持ちにどう答えをだすのだろうか、




