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心配事


「そろそろあがります」


俺がそう伝えるとわかったよ〜となぜだか少し嬉しそうな唯さんの声が聞こえた


「よいしょ、大丈夫足床についてない?」


「はい、大丈夫です」


唯さんに手伝ってもらいお風呂場から出た


「あとは服着るだけだと思うから私はリビングで待ってるね」


「ありがとうございました」


俺はそう言って軽く頭を下げた


唯さんが俺のために脱衣所に用意してくれた椅子に座り服を着る


「はぁ、」


人に手伝ってもらわないと何もできない今の自分が嫌になってしまいため息が出た



服が着替え終わったので廊下に立て掛けてあった

一つの松葉杖を使いリビングに戻った

両手で松葉杖を使うと家の中では邪魔なので

家の中では片方だけ使うか使わずに壁を利用して行動している


「あがりました~」


リビングに入りテレビを見ている唯さんに伝える


「は〜い」


どうやら唯さんはお風呂が嫌いな人じゃないらしい

今回もニコニコしながらお風呂場に向かっていた



リビングの近くに唯さんの気配がなくなると俺はあの手紙を確認した

何度見ても内容は変わらないその手紙に

俺は何回も目を通した

そして見るたびに心はつらくなった

なぜだろうこの手紙は見るたびに心がつらくなる

俺にはこのお見合いというものがわからない

なので唯さんに相談してみるのも一つの手だろう

その考えが頭の中をよぎったがすぐにかき消される

何故か唯さんに伝えてはだめな気がしてしまう

なぜだか分からないが俺はこのことを唯さんに伝えたくなかった

なんでだろう、理由はわからないけどそれだけは

絶対にしたくなかった

唯さんに伝えたら多分全部解決してくれるだろう

そのぐらい唯さんは俺の何倍もすごい人だ

だけどこの問題は俺が解決しなければ行けないと思った



見ていてもつらくなるだけだろうと思いその手紙を元の袋の中にしまった

この手紙のせいで俺の未来が暗くなっているのが感覚としてわかった

俺は未来が不安で不安で仕方なかった今にも泣いてしまいそうなくらい怖かった

だけどなんでこんなに不安で悲しくてつらいのか分からなかった



それから少し経つと唯さんが戻ってきた


「お風呂どうでした?」


俺は今まで考えていたことを忘れるようにして唯さんに質問をした


「良かったよ〜やっぱりお風呂はいいね」


そう言いながら唯さんはヘヘッとはにかみ笑いをする

話の内容なんてどうでも良かった

唯さんと話すことが楽しくて、嬉しかった

俺はこの幸せをずっと噛み締めたかった

だけど時間が変わらないように

人の心もまた不変ではなかった

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