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懐かしい

唯さんの家についた

少し距離があると言ってもさほどじゃない


「唯さんただいまです」


事前に受けった鍵で唯さんの家のドアを開けた

家の中からこちらに向かってくる足跡が聞こえる


「お帰り純平くん」


久々にお帰りと誰かに言われた気がする

高校入学前も両親は仕事でいない日が多かったので本当に何年ぶりだろうか


「姉さん入っていい?」


「芽依、久しぶりどうぞ入って〜」


「おじゃましまーす」


中に入るといつもより中がきれいな気がした

先週からずっといた家なのに帰ってきたらとても緊張する


「ご飯もうできてるけど芽依はどうする?」


「たーべるー」


芽依さん唯さんの前だと唯さんのこと姉さんって呼んでたり、喋り方変わったりして、本当に唯さんのこと尊敬してるんだな



「はい、おまたせ」


唯さんはそう言うと人数分のカレーライスを持ってきた


「わぁカレーだ」


「純平くんカレー好きだったよね?」


「はい、知ってたんですか?でも俺言った覚えないですよ?」


「ふふっどうだろうね、」


いたずらっ子ぽく笑う唯さん

本当に言った覚えないのにな


「さぁ食べようか」




みんなでカレーライスを食べ始める

席は俺の正面に唯さん俺の横に芽依さんという順だ


「桜井ってカレー好きだったのか」


「はい、あんまり食べたことなくて、特別なものだから、とても美味しいです」


「そっか、良かった」


正面で唯さんが微笑む

昔お母さんが一度だけ見せてくれた顔と重ねてしまう、懐かしいような悲しいような気持ちになった



「ほぉ~って口にカレーついてるぞ」


「へ?どこですか?」


「もうちょっとこっち向け、取ってやるよ」


「ありがとうございます」


芽依さんが俺の口についたカレーを取ってくれた

昔お母さんもしてくれたような気がする

あれ?何故か正面から謎の圧が


「唯さん、そのーどうしました?」


「別に、何でもないよ、」


「俺、なにかしたんだったら謝ります」


「じゃあ少し待ってて」


唯さんはそう言うと席を立って芽依さんがいる方の逆隣に来た


「純平くん、カレー美味しい?」


「はい、とっても美味しいです」


「そっか、」


唯さんが俺の頭を撫でる

懐かしいな、あんまりしてもらった記憶はないけど

そう思うと突然目から涙がたれてきた


「どうしたの??純平くん!痛かった?」


「どうした?桜井??」


「えっと、痛いわけじゃなくて、なんて言えばいいのかな、その、嬉しくて」


言葉は全然出ないのに反対に涙は溢れてくる


「そっか、良かった、良かった、」


唯さんは俺の頭をゆっくり撫でてくれる


「大丈夫か?桜井」


芽依さんは心配そうに俺の涙を拭いてくれる


こんな幸せな時間がずっと続けばいいのにな

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