時間と共に変わるもの
「純平くーん、そろそろ起きて〜」
頬ををペチペチと優しく叩かれる感覚とその声でゆっくりと意識が覚醒し始めた
「早く起きてくれないとちゅーしちゃうよ〜」
そう言いながら唯さんは俺の頬をペチペチと叩き続けている
「おはようございます」
俺が目を開けると上から唯さんが俺の顔を覗き込んでいた
「おはよう」
そう優しく言いながら今度は俺の頬をむにむにと指でつまんでくる
「もう夜ですか?」
周りを見渡すと景色は少しオレンジがかっていた
「ううん、3時ぐらいだよ」
5時ぐらいになってしまったのかと思ったが寝起きでまだ目がおかしいらしかった
ずっと唯さんの顔を見ていると照れてしまうので首を少し横に向けた
「こっち向いてくれないとダメだよ〜」
首を横にした直後今度は耳をつまみながら唯さんはそういった
その言葉に少し照れくさかったが首を元に戻す
「っ」
首を戻してすぐ上から唯さんの顔が降りてきた
ちゅ、
という効果音と共に唯さんの熱が俺の唇に伝わった
「えへへ、」
見てみると唯さんは耳が真っ赤になっていた
多分俺もなっているだろう
「あの、私たちまだいるんだけど?」
横からした芽依さんの声でここが外だと気付かされた
「そういうのは2人だけの時にしてくれない?」
芽依さんの追撃が炸裂する
「えへへ」
と俺と唯さんは顔を見合わせながら笑った
それから30分ほどしてそろそろ家に帰るという雰囲気になった
家から公園までさほどさ離れて居ないので徒歩で移動する
「またみんなで来たいですね」
移動中に前を歩いている芽依さん、麻衣さん、優愛の3人をぼんやりと見ながら隣の唯さんと会話をする
「そうだね、花見以外にも色々行こうよ、水族館とか、映画館にも行きたいし、それかまた動物園に行く?」
唯さんはウキウキしながらそう答えた
前にこの道を通った時は足が痛いし、気持ちはぐちゃぐちゃだし、状態で言えば良くないといった感じだったが、今は楽しい気持ちとこれからを楽しみにする気持ちで五分五分だった
「色々しましょう」
「うん!」
周りの景色が時間と共にゆっくりと変わって行くように俺は周りの人のおかげでここまで変わることが出来たんだと、この道を通った過去の俺に心の中で呟いた




