第二の
第二の冒険開幕のプロローグにつき、やや少なめで投稿しております。
人は自分自身を完全に客観視することはできないと言われる。
トーリとメリカの二人には目の前の出来事を客観的に見るということを知ってもらわねばならない。俺が言えたものでもないが。
そのためにはとりあえず、旅の目的を人に委ね、旅の成果を他人に譲らねばならない、そんな状況で観察を目的として旅をしてもらおうと思う。
それに違う国へのパイプもあれば便利だろうし。
「よくあいつを倒したな」
アンドラさんが親しげに話しかけてくれた。
良かった。戻ったみたいで。
「ええ。結構強かったです」
殺すだけなら簡単だったけどな、とは言わない。無意味な仮定であるからだ。
「華麗な剣技は他に並ぶ者なしと評判だったそうだぜ」
「国内では高い評価を受けてたってな」
相変わらず頼りになる先輩方である。
どこからそんなに情報を仕入れてこれるのか。
一つの国を拠点にしていればパイプも太くなるというものだろうか。
「へえ……初めて聞きました」
「ははっ。有名っつってもお前さんらほどではないだろうからな」
有名って言ったって伝説になるようなことはしてないんだけどな。
できることだけしてきたって感じだ。
それで褒められるならまあいいか。細かいことは気にしない。
◇
シンヤに土壌があまり肥沃でないことで相談を受けた。
根粒の窒素固定だけでは足りないらしい。
堆肥を作ることを提案してみたらなにやら考えこんでしまった。
生ゴミや排泄物を殺菌消毒と微生物と活動で堆肥にするのってどうやったかな。
じゃあ灰によるpH調整はどうだろうかと聞いたら何だそれはと尋ね返されてしまった。
「そろそろまた冒険に出るか」
「もう行ってしまわれるのですか?」
レオナがやや残念そうに言った。
「おいおい旦那。一年後ぐらいにはここの独立を記念して客を呼ぼうと思ってるんだぜ? その時に代表者のあんたがいなくちゃいけないんだ。戻ってきてもらわなくっちゃ困る」
「そうだな。半年以内にはまた戻るよ。旅の目的は達成できたし、今までお世話になった人たちに連絡しなくちゃいけねえな」
人以外にも、だが。
機械族はどうしているだろうか。
アイラの携帯っぽい何かで連絡取れたらなあ。
「あ、そうだ。レイル。ここに住んでも構わないか?」
ホームレスがどうやらここを気に入ったようだ。
「おう。シンヤ、移住手続き済ませておいてくれるか?」
「はいよ」
ホームレスなのに家有りって……
名が体を表さない珍しい例だな。
「目的もないのに何をするつもりだよ」
「一つはさっきいった今までお世話になった人に挨拶と、各地の問題処理に……後は本当に冒険ってところかな」
せっかくのファンタジー異世界。楽しまなくては損だ。
弱かったもんで魔物も少ない安全な道ばかり選んで通っていたけど、これから山だろうが谷だろうがなんとかなりそうだ。
誰も踏破したことのない迷宮や古代遺跡なんていうのもあるかもな。
「間諜はあのアホ勇者(笑)どもに頼んだから俺が各地の情報をかき集めることだけに必死にならなくてもいいだろ? そうだな……俺とシンヤの直通経路となる手紙転送装置を使えるようにするし、一週間に一度は空間転移で戻ってくるからさ」
なんとも呑気な冒険である。
野宿も楽しいから毎日は戻ってこないが、これじゃあ隣町に買い物行ってくるのとあまり変わらないんじゃあなかろうか。
これからもっと多くの国を回ろう。
見逃してきたものを、清濁併せ呑むように。見過ごしてきたものを拾いながら進もう。
この世界はとことんお人好しばかりだ。
だが善意ではどうにもならないことがある。
俺は見に行きたい。この世界のまだ見ぬ何かを。
「もうここがレイル様の第二の故郷でございますからね。いつでもお待ちしておりますわ」
「そうだな。ありがとうレオナ」
今は三人がいないからこれは仮決定ではある。
だがどうせ面白いもの好きの夫婦とアイラのことだ。俺が行くといえば一緒に来てくれる、そんな気がする。
「まずはギャクラに顔を出すか」
そう、手紙でしか話していない、あの人に会いに行かなきゃ。
いや義務じゃない。俺が会いに行きたいだけだ。
きっとアイラも戻りたいことだ。
レオンに、アイラの父親に、同級生たちに会いにいこう。
そして俺も父親に会いにいこう。
久しぶりのあの人たちが




