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必勝の聖眼の神殺しと戦女神  作者: 暁 白花
2章 聖なる乙女
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11話 ひとやすみ

 魔獣の森で、総司たちは何度か魔獣と遭遇したものの可変魔法杖で応戦し斃していたが、魔獣は総司の後ろにいた、詩音たちなら襲えると本能で覚り襲うも、逆に魔獣の森の魔獣たちは、触れてはいけない逆鱗に触れ、更なる恐怖を見る羽目になった。


「総司……。殺りすぎ。生態系が狂ってしまうわ」


「気にするところはそこなのか? あの駄神と眷属が居なくなったから出て来たんだろうな。それで直ぐに襲って来るとか馬鹿だろう」


 総司のその言葉にフリーデルトとステラは慌てる。


「に、兄ちゃん……。アイツ等、町をおそわないかな?」


「ま、町には、他の妹たちも居るのです……」


「あの方角なら、大丈夫だろ」


 総司は森の奥を見据えて事も無げに言った。


 詩音たちは訝しげに総司を見るが、暫く森の奥を見詰めていたが「行こう」と再び歩き出す。


 三人は何が大丈夫なのか気になったが、詩音の「気にしたら負け」と言う開き直りにフリーデルトとステラは従うことにした。


「ここが、アタシの家だ」


 暫く魔獣の森を歩き、総司たちはステラの家に辿り着いた。


「魔獣の森を切り開いて、そこにログハウスを建てるなんて……」


「ステラの持っている短剣が、眷属の腕を切断出来たって事は、精霊銀ミスリルだろ」


「じゃあ、家族の誰かが元冒険者か、元城付きの騎士長とか?」


「ほら、アレ」


 総司が指を指す方向に詩音は目を向ける。


 そこには、結晶が置かれていた。


「あれって精霊結晶よね」


「家を護れるくらいの精霊結晶を手に入れられるって事は、冒険者ギルドRankA+とかじゃないか?」


「A+……。あれだけの結晶を手に入れられる強さなら、冒険者よりも城に仕えていた調査を含めた魔物討伐隊に所属していた可能性もあるわね」


「あぁ」


 総司と詩音が話しをしている間にステラが家に入り、身体を拭く布を持って来ると、総司達とフリーデルトに渡す。


 それを受け取り、総司と詩音は別の場所に移動しようとし、その際、フリーデルトが「では、御体を拭かせて頂きます」と、総司に付いて行こうとするのを詩音が「あなたは、此方」と連行されて行った。


 総司はそれを苦笑し、「奉仕なら、詩音にしてやってくれ」と、フリーデルトを見送った。


「嵩張ったとしても、防水加工した素材に包んでいて良かったわ」


「あぁ、そうだな」


「あ、あの……」


 フリーデルトが二人に声を掛ける。


「どうした?」


「こ、この御召し物は、ソージ様の物だとシオン様から伺いました……。わ、私など、裸でも一向に構いません!!」


 フリーデルトが今着ているのは、総司の北星学院のジャージだった。


「いや、そんな大層な物じゃないから、そのままで」


「で、ですが……」


「フリーデルト、総司の命令……」


「は、はいっ」


「それでいい」


 詩音が、総司の背中をつねる。


「ステラを見てきます」


 フリーデルトがステラの部屋へ駆けていく。


「えっち……」


「詩音さんっ、今の俺のせいじゃないですよね? 理不尽っス」


「うるさい……。それで、真実を話すをするんでしょ?」


「話す」


「争いになるわよ?」


「どうなろうと堕ち神を信仰したままか、真実を知って現状を変えようとするか、どちらにせよ関わるか切り捨てるかは、あんな下らない祭儀をしてる此の土地の領主の程度によるな」


「それで、程度がしれたら? ……やっぱり切り捨てる?」


 少し、間を置いて詩音が聞いてくる。


「詩音は許せるか?」


 ジッと、自分を見返して来る総司の瞳から、詩音は真意を探る。


 詩音は、はぁ、と溜め息を一つ。


「……頭では多分、此の世界の弱肉強食は理解できるけど、感情は受け入れられない。そんな少数を殺して多数を生かすなんて……」


「最も、それが一番の繁栄で幸福だとしても?」


「えぇ。そんな真理は斃すべきものよ、違う? アナタが私にしてくれた事でしょ?」


「この何でも剣で決着の殺伐とした世界で、それをやってしまえば賞金首で……」


 詩音が人指し指で総司の唇に触れる。


「一緒に行くと決めたのは、私よ」


 それ以上、口にするのは許さない、と瞳に込めて総司を見詰める。


 この世界、エストレーヤに召喚され、王都アルフィードを飛び出し、スティンカーリンに辿り着き、2ヶ月程、孤月の森にあるアルシェの家で住み込み、アルシェ、リーゼの二人に修行をつけてもらって以来ずっと急ぎ足で旅をしてきた。


「王都に留まっていたとしても、いずれ敵対していたと思う……。総司だって、それが理解わかっていて王の比護下に入らなかったのよね? 違う?」


「違わない……」


 国王アマディウスから、魔神討伐を聞かされた時に、総司が考えたのは魔族、そして、魔神との戦争の為に異世界から勇者を召喚したならば、戦争には大義名分が必要だ。と言う事だ。


 それは王の比護下にある人間が魔族に殺されたと、死体で見つかることだ。

 魔族が殺したと言う状況証拠だけで、開戦の狼煙となる。


「どちらにせよ、相手次第だな。まずは、あの二人に話をして、彼女等の町の領主の事を聞く」


「そう……ね」


 総司と詩音は、これからの事を一通り話し終え、久しぶりに落ち着いて身体を休ませる事が出来た。

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