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第88話.イベントの告知

 夏休みが明けてから一週間ほどだった頃のホームルーム。担任である羽峡(うきょう)先生が、いつも通り気だるそうな表情を浮かべながら、教室の扉を開いて入って来た。


「おーい、席に着けー」


 羽峡先生は折角の美人が台無しになりそうな位に顔をしかめながらそう言う。


「じゃあ私席に戻るね」


 席の近くにいた空宮はそう言うと、自分の席に帰っていく。


「ねぇねぇ、なんであんなに先生しかめっ面なんだろうね?」


 隣の席である凛がトントンっと俺の肩を叩きながら、そう尋ねてきた。


「さぁ?なんかプライベートで嫌な事があったんじゃないの?」

「かなー?」


 そんなやり取りをしながら、先生が話し始めるのを待った。


「えーとだな、一学期が終わって始まった二学期なわけだが、この時期になるとあるイベントがもうそろそろやってきます」

「イベントって何があったっけ?」


 もう一度隣から凛が話しかけてくる。


「あぁ、確かにそうか。凛は今年からここの学校だもんな。知らなくても当然か」

「そうそう」


 凛はこくこくと可愛らしく頷きながらそう言った。


(無駄に動作の一つ一つが可愛いんだよな。何でなんだろうな。天性のもの?)


 そう思いながらも去年の記憶を総動員する。


「去年のこの時期は確か文化祭があったはずだぞ?」

「文化、祭?」


 凛は首を傾げながらそう言う。


(まぁ知らなくてもおかしくはないけど。だって向こうにそういうイベントがあるとは限らないし)


 そう思いながら凛に文化祭について凛に話し始めた。


「文化祭ってのはあれだな。スクールフェスティバル的なあれ?学生達が羽目を外さない程度に馬鹿騒ぎするやつ」


 そう言うと凛は何かを思い出したように、自分のカバンの中をいきなり漁り始める。そして、それが終わったかと思えば、片手にキラキラした感じの絵が表紙に描かれている本を取り出した。


「えーと……漫画?」

「そうそう!」


 凛はそう言うとパラパラっと一気にページを(めく)り、ある場面で(めく)その指を止める。そして、(めく)るのを止めたかと思えば、そのページを俺に見せてきた。


「文化祭ってこんな感じかな?」


 見せられた場面はいわゆるラブコメ系の漫画の文化祭のワンシーン。主人公達が劇をしたり出店をしたりしている感じだな。


「まぁ、それであってる」

「なるほど。てことはこのシーンも!?」


 凛はそう言うとまたパラパラっと漫画の後ろの方までページを(めく)り、またあるシーンで止める。


「どれ?」

「これ!」


 見せられたのは文化祭を終えた後の後夜祭のシーン。

 主人公とヒロインの一人が屋上に2人っきりでいるって所だな。それでまぁ、その後に続く展開はなんとなく読めてるけどもこっからヒロインが主人公に告白するという展開が来ると。


「んーとな、こういうのはあるかもしれないけど、だいたい無いと思うぞ?」

「えぇっ!?そうなの?」


 凛は至極驚いた様子を見せ、その後は少しつまらなさそうな顔をした。


「こういう展開があった方が面白いと思うんだけどな〜」

「いやまあ、これが漫画と現実との差よ」

「そういうものなのかな」

「そういうものなんだろうよ」


 俺達は文化祭が漫画みたいなものなのかどうなのかという話をしていると、教卓を名簿表でトントンっと叩く音が聞こえた。


「おーい、鏡坂とテイラー、ちゃんと話聞いとけよ。文化祭楽しめなくなっても知らんぞ」


 先生はそう言うとまた話の続きを始める。

 どうやら俺達の予想はドンピシャで当たっていたようだ。


「刻くんビンゴだったね!」


 凛はそう言ってピースサインをしながら俺に笑顔を向けてくる。


「だな」


 そう返すと2人して少し笑いあった。

 今年の文化祭はこいつもいる訳だし、今までよりも騒がしくなりそうだな。


第88話終わりましたね。文化祭ですか。あれは思いっきり楽しみたいイベントですよねー。個人的には1番楽しみです。

さてと次回は18日です。お楽しみに!

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