第77話.もう色々大変
全員集合し終えると、芝生が生えているスペースに移動する。もう既に俺たち以外のグループも何組かいるので、空いているスペースを探す。
「どこにするー?」
「んー、ここら辺にするか」
そう言いながら、持参しておいたレジャーシートをバッと広げて芝生の上に置いた。
(それにしても、周りの人は簡易テントみたいなの持ってきてるのね。まぁ、確かに日除けにはちょうどいいかもだけどさ)
「おし、じゃあ後は必要じゃない荷物をここに置いていって遊ぶぞ」
「わーい、遊ぶよー!」
「いえーい!」
空宮と凛は楽しそうにそう言いながら、ピューと駆け出していく。
「じゃあ有理さん、私達も行きましょうか!」
「そうですね」
「ほらっ、刻兄早くー!」
一緒の歩き出した華山と現は少し離れた所で、こちらを振り向きながらそう言った。
「おー、今行くー」
そう言うと少し小走りで2人に駆け寄った。
まず初めに俺達は流れるプールに引き寄せられるように辿り着く。流れるプールは名前の如く流れており、ただ浮いているだけの人もゆっくりだが、確実に前に進んでいた。
それぞれ各々足からゆっくりプールに入ると、ぷかぷか浮き始める。
「燦々日和にヒンヤリプール、極上の環境だね〜」
現と華山仲良く二人で浮き輪にぷかぷか浮かびながら、流れていく。
(俺も浮き輪借りればよかったな)
そう思っているとぬっと後ろから手が伸びてくる。
「刻くーん!」
「おわっ!?」
ぬっと出てきた手は俺の首を抱く様に伸びてくる。
「ちょ、凛!?離して溺れるからっ!」
「おっと、ごめんね?」
凛はそう言うとサッと手を離してくれる。
(あー、危なかった)
そう思っていると、首の代わりに俺の肩に手を添えるように置いてくる。
「ほらほら、刻くんももっと楽しもうよ!」
「とは言ってもな、そんなに凛に引っ付かれたままだと楽しもうにも楽しめないんだよね?」
(ほら、柔らかくて大きいものが俺の背中に当たってますしね?)
そう思いながら、何とか凛から離れようとする。
「そお?でも離れてあげなーい」
凛はふふっと楽しそうに笑いながら俺に引っ付き続けた。
お願い離れてー!周りの男の人の目線が、目線がっ!凄く刺さってくるんですけど!
「刻兄と凛ちゃん楽しそうだね〜」
「ですね〜」
隣で現と華山は暖かい目をしながら、こちらを向いてそう言っている。
(現ちゃん?そんな事を言っている暇があれば、助けてくれないかなー?)
ドギマギしながらプールの流れに身を任せる。
「凛ー、何してるのー?」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「んー?刻くんに抱きついているんだよ!」
「な、何で?」
その声の主は皆さんご存知空宮。俺は振り向いて空宮の方を向いた。
空宮は心の底からなぜ?という疑問を抱いた顔をしている。
「何でかって聞かれたら、刻くんが困っている顔を見るのが楽しいから?」
「たしかに分からないではないけどね」
「いや、分かるなよ」
思わずそう突っ込んでしまう。
「もう、とりあえず一回離れろ」
そう言うとプールの中に一気に潜って、何とか凛の腕からから抜け出す。
「あ、むぅー……。せっかく楽しんでたのに」
凛は可愛らしくそう言うと、なぜか次は空宮に抱きつくという奇行に出始めた。
「えっ!?次はどうしたの」
空宮は当然訳が分からないと言った口調でそう言う。
「もう、今はなんとなく可愛い蒼ちゃんに抱きついていたい気分なんだよ〜」
「え、えぇ……」
俺はそんな二人の百合百合しい状態を見ながら、俺達よりもだいぶ先を現流れている現達の元へ行く。
「あ、刻兄おかえり〜。凛ちゃんの胸はどうだった?」
現はどストレートに俺にそう聞いてくる。
勘弁してくれよ。
「はぁ、なんか疲れたよ。まだ始まったばっかなのに」
そう言うと華山は苦笑いを浮かべながら俺を労ってくれた。
「鏡坂くんお疲れさまです」
俺にはその一言が何よりもの救いだった。
今日は凛も現も許さないからねっ!
第77話終わりましたね。なんか今回題名適当じゃね?って思った人がいると思います。僕もそう思いますね。きっと疲れていたんでしょう。
さてと、次回は24日です。お楽しみに!
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