番外編第665話.なんであいつがここに……私のオアシスがっ！

　映画を見に行くことがある。

　主に洋画だ。日本の作品はあまり性にあわない。作り物感が酷すぎるゆえか、茶番感が拭えないせいか。

　その点、洋画はいい。洋画は洋画としての特徴や言い回しと、使う時はとことん違和感が無くなるまで編集し使うCG。これのおかげで迫力から映画へののめり込みまで随分と楽しめる。あとはそうだな。映画の本場ハリウッドがあるおかげか、俳優のレベルが非常に高いというのも一つの理由だろう。それに日本の俳優と違い海外の俳優は60超えてもアクションしてたりして旬が長い。

　今日は最新作の公開日だ。主演は言わずもがな名優のキアヌ・リーブス。年に対してアクションが激しめかつその髭を生やしたロングの髪の毛が非常に渋くてかっこいい。男に生まれ変わるならあれを目指そう。

　映画に行く時はいつも1人なので服装は無頓着スタイルだ。黒のキャップに上はジャージ。下だけジーンズパンツでまともを演出。あとは眼鏡をしたら完成だ。眼鏡は伊達なのだが、理由は知り合いに万一会った時にバレないようにするためだ。といっても知り合いなんてほとんどいないのだが。

　いつものようにスマホのQRコードを入口のスキャナに通して中に入ろうとする。スタッフの人に特典を貰いつつシアターの場所も教えてもらうのだが。

　……あれ、まさかこいつ鏡坂？……あ、確定だ。名札に鏡坂って書いてある。

　あ、言い忘れていたか。私は緋山楓だ。

　にしても鏡坂ってここでバイトしてるのか。今まで見た事なかったのに。

　予想外の出来事に少し挙動不審な不審者になりながら私は背を向けシアターの方に足早に向かうのだ。