第631話.久しぶりの後輩
今日の授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り響く。
どこでも聞くような馴染み深いあのリズム。
3年生は自由に席を立ち各々が向かいたい場所に歩き出した。
教室を出て廊下を歩きウッドデッキに向かう。
真っ直ぐ行ったその先はがらんと空いていて人がいない。その間に交流棟の方に移って部室に向かった。
鍵は掃除の時に開けておいたので難なく入ることが出来る。
今までなら西日に照らされた埃が舞ってキラキラとした景色が広がるところだが、先程掃除したばかりなので今は純粋に綺麗な西日だけが差している。
少し寒いと感じるかもしれないけど窓は開けて換気だ。
クリーンで綺麗な空気を取り入れて気分は最高潮!
3年のメンバーは椅子に座って江草ちゃん達が来るのを待つ。
江草ちゃんとはLINEでよくやり取りをすることがあるけど、小笠原ちゃんや君嶋くんとはあまり話すことは無い。学年が2つも離れるとこういうことも少なからず起こるのだろう。
私は中学時代部活に入ることはなく部の上下関係というものを経験してこなかった。PhotoClubに入ってからも一番上が私達の代なので、関係が深いのは一つ下の江草ちゃんくらい。それ以降の小笠原ちゃんの代とはあまり一緒に活動したことがないのでこうした微妙な距離感というのが生じても致し方がないのだろう。
しばらくすると廊下の方からパタパタとローファーの床を蹴る音が聞こえてきた。
そして開かれる部室の扉。
開けた当人は随分と驚いたのか、間の抜けた表情をしている。
「せ、先輩達が勢揃いだ……き、今日何かありましたっけ?」
「今日は受験終わった組だけ学校ある日なんだよ」
「あ、そうなんですか?」
「そうそう。だからついでにPhotoClubのにも顔出しとこかなーって」
それだけ言えば江草ちゃんも納得したのか「なるほど〜」と言ってカバンを机の上に置いていた。
「それじゃあ今日は先輩達も写真撮りますか?」
「うーん、カメラ無いからなぁ。私達はお喋りだけでいいかな」
「分かりました。多分舞ちゃんと君嶋くんはもう少ししてから来ると思いますよ」
「うん、分かった。そういえばその2人は元気?」
「元気ですよ。特に舞ちゃんは元気ハツラツです」
「ふふっ、なら良かった」
後輩が元気なのはいいことだ。それだけでPhotoClubの後は心配しなくていい。
立つ鳥跡を濁さずとはよく言ったもので私達が今日したのはまさにそれにあたる行為。
多分卒業式当日は泣くんだろうなぁ。
第631話終わりましたね。最近は寒かったり暖かかったり、雨降りまくったり。季節が瞑想に瞑想を重ねて人間を軽く殺しに来ていますが皆様お元気ですか。僕は死にかけです。
さてと次回は、1日です。お楽しみに!
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