第627話.卒業前の大掃除
授業中の1年生と2年生の邪魔にならないように私達は掃除をしていく。長い廊下や普段はあまり使われない教室などを重点的にだ。そして部活に所属している生徒は自分の部活の部室も掃除するようにとの事らしい。
PhotoClubの面々は全員受験が終わっているので4人で部室に向かうことにした。
国際交流棟の4階。
すっかり登り慣れた階段を上がって鍵を使って中に入った。江草ちゃんが元々几帳面な性格で私達がいた時から時々掃除していたのを見ていたから分かっていたが、今でも随分と綺麗にされていた。正直私達が手を加えるところはほとんど無さそう。
と言っても何もしないで帰るわけにはいかない。普段は掃き掃除が中心だろうし、私達は拭き掃除に徹することにしようか。
廊下を出て少し行ったところにある水道で雑巾を濡らしてから私達は窓のサッシや黒板のチョーク棚などホコリのたまりやすい場所を拭いていく。
「ひゃー、手がちべたいね〜」
凛がそう言いながら指先の赤くなった手で掃除していた。
「暖かくはなってきたけど水はなかなかねぇ」
夏にもなればほとんどぬるま湯しか出てこない水道だが、冬の間は常に極寒を提供してくれる。それは少し暖かくなった程度では揺るぎないようだ。
刻もユウも冷たいことには賛同するようでうんうんと頷いている。
「ふー……さて、そろそろ終わろっか」
掃除を全体的に終わらせてから軽く換気だけする。
その間、私達は久し振りの部室で雑談を楽しむのだった。
最近バイト先であったことだったり、パンのおすそ分けがどうのこうのだったり、今日はみんなで食堂に行こうという話だったり。
短い時間ではあるがそれなりに楽しく話せた。
さて、そんな話も長くはできず、私達は集合しなければいけない時間というのを指定されているのでそろそろ教室に戻ろうということになった。
途中ウッドデッキを歩く際に中庭が見える。そこには美術の授業なのかイーゼルにキャンバスを置いて風景画を描く生徒達の姿があった。日向で描いている子は暖かそうだけど、日陰の子は寒そうだな。なんて思ったり。
教室に戻ってからは簡単なアンケートや後輩へのメッセージを書かされる時間となる。この時間は別に授業でもなんでもないので先生も生徒達との談笑に加わって楽しそうだった。
羽挟先生もここにいたらなぁと思うが、今はお腹の子のことが最優先だ。むしろ卒業式に出てくれると言うだけでもありがたい。
着々と近づく別れに寂しさを感じないわけではない。
けれどこれも一つの人生のスパイスだと思って受け入れるのだ。
第627話終わりましたね。作者本日のバイトめちゃくちゃ頑張ってまいりました。えぇ、地獄のようでしたよ。ありえないくらいに人来ましたから。なんであんなに来たのでしょうかね。ほんと。
さてと次回は、22日です。お楽しみに!
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