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第613話.クラスメイトの少ない教室

 卒業ということに対する実感というのは案外少ない。

 けれど、それが確実に近付いてきていることは否が応でも感じさせられる。

 空席の目立つクラスメイト達の席。2次試験に向けての最終の追い込みを予備校なり家なりで行っているのだろう。

 私達は既に受験が終わっていることもあり学校に来るしかないのだが、来たとしても自習ばかりの授業を受けるだけだ。楽しいのはほぼ遊びと化した体育の授業くらい。


「さーこいっ!」


 男女混合のバレー。

 お互いのチームに全国レベルの上木くんと灯崎くんがいるが、どちらもスパイクを打たせたらやばいとの事で基本はリベロになっているらしい。と言っても上木くんの本職そのものがリベロなのだが。まぁ、それでもスパイク技術には素晴らしいものがあるらしい。

 詳しくない私は基本刻の背に隠れるようにして参加することにする。

 凛はというと元の身体能力を活かしたスパイクで上手に灯崎くんの守備位置を外して打ち込んでいる。これには上木くんも灯崎くんも関心していた。


「そろそろ刻も一発決めちゃお!」

「おう。そのためには俺の服から手を離そうな」

「やだ!」

「えぇ……」


 私は意地でも刻の事を離すまいとギュッと握った。

 にしても灯崎くん達の評価としては刻のセットアップは天性のものがあるらしい。素人のものにしてはやたらと丁寧かつ、正確。何よりふんわりとセットされるのでとても打ちやすいらしい。

 スイマーとして活躍する刻の姿は何度も見たことがある。しかし、セッターとしての姿は見た事がないので、そんな姿を見てみたいなと思うのだ。



✲✲✲



 男女混合バレーの結果は接戦で24対26でギリギリ灯崎くんチームの勝利となった。

 敗因は最後の最後に私の方にボールが飛んできてしまった事だろう。私とて身体能力が低いわけではない。むしろ高い方だ。しかし、バレーはなぜだか昔からてんでダメで、できる限り邪魔をしない動きを意識して参加するようになっていたのだ。そんな人間のところにボールが来たとて何も出来ないのは言うまでもないだろう。

 けれど、みんな遊び半分でやっていた分終わってからも楽しそうで良かった。これで殺伐とした空気になりでもしたら居ずらくなってしまう。

 女子グループは更衣室に向かって制服に着替えることにした。人が少ない分、広々と使えるのは非常にいいことだ。けど、お胸の小ささを周りの人に隠せないのは恥ずかしい。

 いや、恥じるものではないのだとわかっている。刻のおかげで成長もしてるし牛乳もちゃんと飲んでいる。しかし、近くにいる比較対象が幾分大きいせいで相対的に結局小さく見えてしまうのだ。となると隠せる壁が欲しいわけだ。

 この世はなんて理不尽なんだ。

 そう思う今日を過ごしながら、私達は卒業に向けてまた1日時を進める。


第613話終わりましたね。最近は社畜適性があるのではないかと疑い始めて今日この頃です。もうね、バイトが忙しすぎる。というか人が足りない!そして僕が働いた方が早く回るってなんやねん。ほかのバイトの人ー!

さてと次回は、25日です。お楽しみに!

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