第606話.桜崎澪というキャラクター
某有名少年誌のグッズが沢山売っているショップがこの建物にはある。客層は男女問わず多く入っており、もちろん漫画も買えてしまう素晴らしき場所だ。
私自身はスマホで漫画を読むことはあるのだが、少年誌にはあまり手を出したことがない。昔刻の家に遊びに行った時に漫画を借りたくらいだろうか。それ以降も話題になっているのは知っているが、さほど興味を抱かずここまで来た。
刻は私とは反対にこの少年誌の根っからのファンで、追いかけている作品の単行本は初版で発売日当日に必ず買っている。元々持っていた大半の作品は実家に置いてきたそうだが、それでも時たま読みたそうにしている。私としては別に漫画を置いてくれたって構わないのだが、刻曰く起き始めたらキリがないとの事で制限しているらしい。
気を使ってくれるのはありがたいが、それで自分の好きな事を無理に押さえつけるのもどこか申し訳ないなと思うのだ。
プラプラと歩きながらどんなものが売っているのかと見て回る。
漫画があるのは当然として、他にはキャラクターの画像がプリントされた缶バッチやアクリルスタンドなどが売っている。時々街中で見かける缶バッチだらけのカバンを持った人はこういった場所で買うのだなと思いながら、他のグッズも探してみる。
近くにはぬいぐるみや小指サイズのパペットなど、思いの他多いバリエーションに驚きながら可愛らしい女の子のキャラクターをもしたぬいぐるみを手に取った。
ピンク髪のボブ。目は青く着ている服はセーラー服だ。
タグには漫画の題名が書いていて、キャラクターの名前もある。
『あなたの隣は私だけっ!』という漫画の桜崎澪というキャラクターらしい。見た感じラブコメっぽいしキャラクターの見た目も可愛らしいから、見てもいいのかなと思う。
「ねぇ、この漫画って面白い?」
隣で色々と見ていた刻に私はそう尋ねる。
「ん、めっちゃ面白いぞ」
「やっぱり?これってどんな話なの?」
私の想定では勝気なヒロインの桜崎澪が主人公の名も分からぬ彼に押して押してのラブコメをするのではないかと考えている。そうなればとても面白そうだ。というか既にアニメ化も決定しているらしい。
「これはな主人公が殺し屋のヒロインに愛のために殺されそうになるギャグラブコメだな。ちなみにそのヒロインがこの桜崎澪」
「え、この子殺し屋なの?」
「おう。ギャグ漫画だから天然ボケとかもするけど殺し屋としての実力は他作品のキャラと比較しても頭ひとつ抜けてると思うぞ。なんか知らんけどめっちゃ強いから」
「え、主人公死んじゃわないそれ」
「んー、どうなんだろうな。主人公も要所要所化け物じみた身体能力を見せるから、案外大丈夫なんじゃないか?」
「ふへ〜」
思っていた内容と随分と違っていた。あっていたのはラブコメという点くらい。けれどそのラブコメもついで要素にしか聞こえないほどに、他の要素のインパクトが強すぎた。
「まぁ、でも面白そうだし、何より可愛いし買おっかな」
そんなことを独りごちながら私はレジに向かうのだった。
第606話終わりましたね。皆さんはウマ娘しますか?作者は競馬も見ますのでねウマ娘もします。はい。とても可愛らしいキャラクターをひたすら推すゲームだと思ってます。
さてと次回は、11日です。お楽しみに!
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