第595話.新年のあけましておめでとう
普段の日常では感じる事が少ないが、こういったイベント事がある時期には特有の色があるように感じる。具体的な色というわけではないが、そういった雰囲気を感じるのだ。クリスマスなら緑と赤とか、ハロウィンならオレンジといったようなみんなが連想するような色。お正月も漏れなくそれで、赤と白のイメージが浮かぶ。
そんなお正月カラーに染った今日は電車に乗って実家の方に向かっている。
実家といっても帰る先は刻の実家。私の両親もなぜか鏡坂家の方に今日一日はいるので、新年の挨拶に困ることはない。
新年の挨拶に向けて私達は新しい服を用意していた。それをオシャレに着こなしながら親に会うのは楽しみだ。気がついてくれるかなまでは分からないが、可愛らしく写ってくれたらいいなとは思う。
摂津本山まではさほどかからず、20分もすれば駅に着いていた。
降りて改札を抜けた先、駅の正面に出ると家のある方に向かって歩き出す。
この付近には大きめの道路が駅の南側にある。主に私達の住んでいた住宅街はその道路よりも北側にあるのだ。つまるところ駅の北側出口から出たら最短距離で向かえるということ。当たり前だね。
駅から家までもそこまでの長距離ではなく、10分程のんびり歩いていれば懐かしい家の姿が見えてきた。
刻の後ろについて行き、インターホンを鳴らす姿を後ろで眺める。応答してくれた声は可愛らしい女の子の声。
『おー!今行くから待っててー!』
新年から随分と元気そうなそんな声が聞こえてくる。
家の方からドタバタと急いで走ったような音が聞こえてきて私達はくすりと笑った。
勢いよく玄関扉が開かれて先程の声の主が現れる。
サイドテールの快活娘。刻曰く、小悪魔シスターとも言うべき実の妹、鏡坂現だ。
ゆらゆらとまとめたサイドテールを揺らして私達の方まで近付くと中に招き入れてくれる。それに従うようにして私達は着いていく。
玄関のポーチには既に私達以外の来客の靴があり、私の両親が訪れていることもこれで察せられた。
「おじさんもおばさんも来てるみたいだな」
「うん。まぁ、あの2人だし、私達よりもウキウキだったんじゃない?」
なんて話をしながら先に現ちゃんが消えていったリビングに私達も入った。新年の挨拶をしながら中に入ると中では既におせちを食べ始めている大人4人の姿が。ちなみに事前に食べ始めていることは聞いていたので、別に驚くことでもなんでもない。
荷物を下ろし、上着も脱いでしまうと予め用意されていた席に着く。お箸もお皿も用意周到に置かれていて、ガッツリ歓迎されているということをこの身をもって実感した。
✲✲✲
ひとしきり食べ終えたあとは晩ご飯の時間までゆったりとした時が流れる。
お互いの両親は昔話に花を咲かせ、現ちゃんは刻と私の間を陣取っていた。私達の片腕ずつを陣取るようなそんな形だ。
のんびりのんびり、2人きりの時間もいいなと思うけれど、こうやって家族の大人数で集まるのもまたいいなとそう思う今日この瞬間だ。
次の年もまたこうして過ごしたいなと、そう思う。
第595話終わりましたね。次回は現の黒岩さん関連の話でもぶっこみましょうかね。この作品では普通に同性に好かれるパターンありますからね。百合系のね、楽しいんです書いてて。
さてと次回は、20日です。お楽しみに!
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