第594話.恋する男の盲目
手に持った白の紙袋の中には出来たてほやほやのベビーカステラが沢山入っている。抱え持つようにしながら私は大切にそれを抱いて歩いていた。
この後の予定は特に決まっておらず、ひとまずは家に帰ろうということとなる。実家に戻るのは明日からだ。
前回実家に戻った際は私の家だったが、今回は刻の家。ちなみに私の両親も集まりには参加するらしい。まぁ、そもそもお互いの両親同士が同級生というのもあって同窓会のようなノリで集まれるらしいのだけれども。
というか純粋な疑問だが、あの4人は同級生同士で引っ付いたわけだが、その子供がさらに引っ付くという展開に関してはどう思っているのだろうか。祝福はしてくれてし肯定しかないのだろうが、そうではなく友人の子供が自分の子供と付き合うようになるというのはなんだか不思議な感覚がしそうなものである。何せこのまま順当にいけば4人の遺伝子が完全に融合した子が生まれるわけなのだから。最初は完全なクラスメイトでしかなかったのに、その血が全て集約するというのはなかなか不思議なものだろう。親達の友人にその事を伝えたら普通に驚かれそうだ。
まぁ、そんな疑問は疑問程度で収めておくのが結局のところ安牌な話で、話の路線を戻すなら今考えるべきは今日の話だ。
とはいえ本当に何もすることはない。おせちも別に食べる家庭では元々なくてそれは刻も一緒だった。となると必然的に我が家で用意する必要も無いわけで、なおかつ元旦のイベント二つも消化し終えた以上残るのはポチ袋にお金を詰める作業くらいか。まぁ、言っても2000円ほどしか入れないけど。
歩きながら意外とお正月にする事って何も無いのだなと気が付き、そりゃ寝正月なんて言葉も生まれるわけだ、と思わず納得してしまう。この時期のテレビ番組は特番と番組編成期がもろに重なって絶妙に面白くない日が続いてしまうのだ。
こういう時こそネットの動画配信か。映画も見れるしYouTubeなら好きなジャンルの動画も探せる。というか、YouTube上に推しがいる人なら圧倒的にこっちの方がいいのだろう。そりゃテレビ離れも起こる。
原因とその要因があまりにも明確すぎて自らの推理に思わず驚愕しながら、「私、名探偵になれるかもしれない!」と、私の心の声を聞いていなかった刻に思い切り話してしまうのだった。傍から見たらただの変な子だけれど、刻には特殊フィルターがかかっているのでどうやら大丈夫そう。
やっぱり恋って盲目なんだね。
第594話終わりましたね。世間では二連休が始まります。作者は日曜日の競馬が唯一の楽しみです。よろしくお願いします。
さてと次回は、18日です。お楽しみに!
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