第587話.もちもちクッション
インテリアショップの中央の方には大きなインテリアよりも小物雑貨が多く集まっている。お皿であったりコップであったり。少し行けばクッションから座椅子なんてのもある。
沢山ある小物というものに目を輝かせながら私は右と左を交互に見る。部屋に置いた時の想像をしながら手に取ってみたりするのだ。
「刻ー、このクッションもちもち!」
「お、ほんとだ。おぉ……なんか既視感あるもちもちさ」
刻の視線が段々と私の胸の方に移動してくるのを感じ取る。私はサッと胸を腕で隠しながら刻の方をジト目で見た。
「えっち」
「あ、いやそんなつもりは……」
「……でも既視感あったんでしょー?」
「いや、まぁそれは……はい」
観念したかのように小さく頷く。
しゅんと項垂れる刻のことを見ながら私はクッションを元の場所に戻すと刻の手を取った。ここでえっちだどうだの会話をしていても埒が明かないし、というか普通そんな話を外で話ない方がいい。だからひとまず店の別のエリアに向かうのだ。
本当はもう少し小物とかを見ていたかったけれど、小さな子供もいるしね。大人のえっちな事情に巻き込んじゃダメなのだよ。
結局向かうようにしたのは電灯関連が置いてあるエリア。寝室とダイニングの電飾を変えるのもいいかもねという話が出ていたのでその視察といった感じだ。
ダイニングは刻の要望で比較的明るくするイメージ。寝室は私の要望で暖かい印象を持つ暖色系の色をふんだんに使うイメージだ。ちなみにムーディにすることだってできる。
電飾といっても一概に決めれるわけではない。想像以上に多い種類にびっくりするのもそうなのだが、何よりも形から色の微妙な差異、なんなら電飾一つで調整し放題と選べる幅が広すぎる。なおかつサイズ感的な面でももう少し吟味が必要そうということになり、結局ここではこんな感じのものがあるのだなぁ、程度の視察で切りあげることとなった。
うん、見ていて楽しいものは多かった。私はデザインなんて到底出来ないからこうやって完成されたものを眺めて見て、気に入ったら買ってといったふうにするのが一番いい。私に合っている。
そんなこんなで店を出て帰りにスーパーに寄ってから家に帰ることにした。もうここら辺で1年も暮らし、恋仲同士で買い物に来るのを何度も繰り返していると奇異の目で見られることは随分と無くなった。見られても気にすることでは無いが、でも見られない方がましではある。
そんな風に1人納得しながら刻と一緒にスーパーで買った商品の入った袋を片手ずつ一緒に持つのだった。
第587話終わりましたね。刻が男子でえっちなのは分かると思いますが、実は案外蒼もえっちなんです。というか刻が相手だからというのが大きいでしょうね。案外自分の欲に素直な子なんですよ。
さてと次回は、4日です。お楽しみに!
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