第579話.新しいレストラン
世間のカップルはその大半が昨日の夜に2人の時を過ごしていたようで、25日の現在はあまりそういった関係の人達の姿が見えない。私達も昨日の夜は一緒に過ごしたが、けれどそれは同棲しているから常の出来事であって、特段変わった出来事というわけでもないのだ。
電車の中は思っていた以上に閑散としていて拍子抜けだ。もう少し混むと思っていた分、気が楽にはなったけれど。
空いている席ばかりなのでどこにしようかなどと刻と話しながら適当に座る。
目的地までは少しかかるのでゆっくり出来そうな場所がいい。できることなら端が一番いい。
今日行くお店はちょっとしたお高いレストランで、皆が想像するザ・コース料理!みたいなものは出ないが、けれど一つ一つのメニューはそこそこ値を張る。けれど、それだけ味への保証があるものだと捉えるとこれほどの安心材料は無いとも言える。
実際美味しいらしい。ネットの書き込みや評価などを見ても批判するコメント等が一切ない。接客から味に至るまでの終始が徹底されているらしいのだ。
それだけ評価されているところの料理をこれから食すことが出来るとなると、胸の内に抱いたこのワクワク感は形容しなくとも分かるだろう。
私は抑えきれないワクワクを刻の手を繋ぐ事で何とか制御する。手を繋ぐだけで制御できてしまうワクワク感なんて大したことないと思うかもしれないが、これはあくまで刻が相手だから成り立つ話だ。これが他の人であれば寧ろ悪化する。
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目的地の最寄り駅に着いてからもまた少し歩く。家の近くよりもこちらの方が雪が降っているらしく、アスファルト舗装された道はすっかり白く染められていた。足を滑らせないように気を付けながら、目的のレストランの看板を探す。
目的地であるレストランは個人経営のお店だ。広めの国道に面した立地に立つお店で、ネットのホームページに表示されていた外観は夜になると暖色の照明が漏れていて非常にオシャレに見えた。オーナー曰く、雨の日に道路越しにこの店を見ると雨の冷たさに相まった光の暖かさと、美味しそうなご飯の匂いが合わさってよりよく見えるらしい。実際私も店の外観の写真を見ただけでそれは思った。この店は雰囲気から何から何までが高水準でまとめてあると。
と、そうこうしているうちに目的の店が見えてきた。
ライトで照らされた看板。私達は寒さを凌ぐためにも早く店を目指し始めるのだった。
第579話終わりましたね。作者のバイト先、年末年始はシフトの希望を出せないという恐ろしいことを知らされました。はい、これが何を意味するかと言いますと、向こうの都合でシフトが組まれますということですね。非常に怖いですね!
さてと次回は、18日です。お楽しみに!
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