第559話.4人家族の雪だるま
雪の積もった公園に足跡を付けて段々と見えてきた雪だるまの方に向かっていった。
良かった壊されてはないみたい。しかし、写真で見た時でも大きいとは思ったけど、実際に実物を見るとその大きさに驚いてしまう。
「本当によくこれ作ったよね」
まじまじと観察しながら私は隣に立つ刻にそう言った。刻は嬉しそうに笑いながら、頑張った、と言って胸を張る。
んー、私も作ろうかな。
思い立ったが吉日というのか、私は手が冷えないように手袋をしたまま雪だるまを作ることにする。十中八九びしょびしょになってしまうので、家に帰ったら洗濯だ。
私はせっせかと近くの雪を集めてコロコロと転がし大きくしていく。そんな姿を見ていた刻も察してくれたのか、手伝い始めてくれた。高校生が2人で雪だるまを作る画というのも中々不思議なものだ。けれど、傍から見れば仲の良い2人として写ってくれるだろう。
程よく大きくなってきた胴体と頭を引っ付ける。そして一度刻の作った雪だるまの隣に置いた。刻のものより少し小さめの雪だるま。ここから目や手を付けて可愛くしていくのだ。
「いい感じの石ないかな」
キョロキョロと辺りを見渡しながら、雪の間から顔を出している石を探し出す。それを手に取り雪だるまの頭部に2つ付けた。
うん、これだけでも随分と可愛くなった。あとは木の棒で口を作って、手を生やしてあげたらいい感じ。
近くの木の枝を数本拾うと差したり付けたりして最後に胴体の丸みを整える。
「刻見てみて」
「お、完成したな」
「夫婦みたいだよね」
「そうだな。あ、それなら子供雪だるまも作るか」
「いいね、作ろ作ろ〜」
先程よりかは小さくまとめた小さな雪だるま。同時に作っているから、双子ちゃん雪だるまなのだ。識別するための特徴は、頭に着けたリボン代わりの枯葉が右か左かという事のみ。
いい感じにまとまったら、双子ちゃんは夫婦雪だるまの前にちょこんと置く。
「仲良し4人家族だね」
「だな」
最後に記念撮影だけしてから私達は家に帰ることにした。
おそらく明日の朝には随分と形が崩れているだろう。それは仕方がない事だと思いつつ、帰りにコンビニでおでんを少しだけ買って帰る。
熱々のトレーのカップで手を温めながら帰路に着く道。行きしなに作った私達の足跡はこの短時間でまた上書きされて消えていた。
時間経過による自然の力は凄いなと思いながら足早に帰るのだった。
第559話終わりましたね。作者はバドミントンサークルに入っているのですが、夏休みを終えてからの2週間もサボって行ってなかったので今日久しぶりに行ってきました。シンプルに疲れますね。けど、楽しいですね。
さてと次回は、9日です。お楽しみに!
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