第554話.猫のロボ
刻くんと君嶋くんが全員分の飲み物を取りに行っている間に、女の子の僕達はタブレットで注文をしていく。制限時間が100分で、そのうち注文が可能なのが80分間だ。つまり長いようで案外短いということ。1分の無駄も許されないのだ。
ド定番のタンは多めに注文しつつ、ハラミや豚肉なども頼んでおいた。サイドメニューも豊富で、どうしてかは分からないがこの店ではチーズをかけた唐揚げやポテトフライなど、ひたすらチーズ推しが凄いのだ。興味を惹かれてしまうが、しかしだ。今回のメインはあくまでお肉。そしてそれには制限時間があるわけで、なので食べるとしてもこの子達は最後の最後まで取っておくのが吉と言った感じだろう。
「お待たせ」
両手に2個ずつコップを持った刻くんと、3個持った君嶋くんがやってくる。
席は僕達3年生の4人が1テーブルを使い、江草ちゃんと君嶋くん。そして舞ちゃんでもう1テーブルを使う形だ。君嶋くんは舞ちゃんの隣に座っている。てっきり舞ちゃんが江草ちゃんの隣に座るものだと思っていたけれど、1年生のあの2人はかなり仲が良いらしい。
「注文は済ませといたからあとはゆっくり待っててね」
「おう」
蒼ちゃんと刻くんのそんな会話を正面から聞きながら、僕は刻くんが持ってきてくれたカルピスをくぴくぴと飲むのだ。
にしても、食べ放題の焼肉屋さんだからか、食べ盛りの小さな子供を連れた家族や、あまりお金のない学生が沢山いるように感じる。いや、感じるというか事実そうなのだろう。だって僕達の後ろのテーブルは家族連れだし、その隣は学生だし。
安いお店には同じ考えの人が集まるなぁ、なんて当たり前の事を思いつつ、猫の顔が表示された配膳ロボットがのそのそとやってくるのを見つけた。
「あ、僕達の所に来てるね」
指を差してみんなに教える。どうやらみんな初めてこの形態の実物のロボットを見たようで物珍しそうにしていた。
「よく赤ちゃんがこのロボットを見て泣く動画は見たけど、いやはや、実物も結構大きいもんだね」
蒼ちゃんがはへー、と伸びた声を出しながら載せられていたお肉のお皿を取った。そして猫の顔が表示されていたモニター部にある完了を押して帰還させるのだった。
「さ、じゃあ焼こっか」
網の上にお肉を置いてジューっと焼ける音と漂ってくる匂いに鼻孔を擽られる。ぐーっと鳴ってしまいそうなお腹を抑えつつ、いい感じに色が変わり始めたお肉を表に返していく。
ふふ〜。さぁ食べちゃうぞー!!
第554話終わりましたね。作者、今回のお話に出た焼肉屋さんに実際に友達と食べに行ってきましたが、安くてかなり美味しいお店でした。三ノ宮にも食べ放題でかなり美味しいお店を知っていますが、値段はそれ以下で味はトントンという中々にいいお店だったので結構気に入った感じです。だから話の中に出てきたんですけどね。
さてと次回は、29日です。お楽しみに!
それと「面白い!」「続きが気になる!」という方はぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!




