第547話.一緒に行きたいから
今日は天気予報によると1日肌寒くなるらしい。コートをしっかりと羽織り、防寒対策をすると蒼と一緒に家を出た。
「なんか悪いな」
「何が?」
「いや、蒼は日番じゃないからもう少しゆっくり出来たのに俺と一緒に来てくれたからさ」
「それは大丈夫だよ。私が一緒に行きたくて行ってるから」
「そうか?それならいいんだけど」
とはいえだ。女の子は身支度に時間がかかるしで、俺のせいでその時間がさらに早くなるのはどうかと思うのだ。ゆっくり出来るならゆっくりして欲しいし。
「そういえば今日英語の小テストがあるんだったよね」
「そういえばそうだったな。蒼はちゃんと勉強したか?」
「昨日の夜はたくさん刻に甘えていたので出来てません!ちなみに刻は?」
「俺は蒼に甘えさせてたので出来てません」
「じゃあ今回は諦めよっか〜、あはは〜」
能天気さには自信のある蒼の間延びした笑い声に耳を澄ませながら、俺達は見えてきた校門をくぐった。
✲✲✲
英語の小テストは案外簡単に乗り切れたのでひとまず安心する。休み時間に蒼の所に行って点数も聞いてみたが、蒼はどうやら悲惨だったようだ。
「なぁ、鏡坂ちょっといいか?」
「ん?」
授業終わりにぼーっとして過ごしていると上木に話しかけられる。
「あの、凛さんって受験もう終わってたよな?」
「あぁ、終わってるぞ。いつも暇そうにしてる」
「そうか、ありがとう教えてくれて」
「あぁ、うん。それだけ?」
「それだけ。デートに誘いたいだけ」
「あ、そう。デートね。うん、デートデート。……で、デート!?」
さらっと驚くような事だけを言い残して上木は颯爽と去っていく。俺としては上木にあんなイケメンな声でデートに誘いたいだけと言われたことでトゥンクしてるのだが、にしても上木が凛にデートのお誘いか。いいな、美男美女のデート。蒼と一緒に変装して尾行するのも面白そうだ。
脳内でバレバレの変装をする自身の姿を思い浮かべながらくすりと笑う。
そうだ、そういえば今日の俺は日番なのだった。
教室の前に行き、文字で埋められた黒板を黒板消しで消していく。この作業、大変なわけではないが、10分しかない休み時間を盛大に奪っていくのであまり好きではないのだ。教師によったらかなり綺麗にさせられるし。
キュッキュと誰が見ても文句の付けようがないほどに黒板を綺麗にすると、俺は自席に戻る。
第547話終わりましたね。作者は、小説を書く時動画を見ながら書いたりしているのですが、時折動画に時間を取られて1時間何もしないなんてことざらにあるんですよね。ダメですよねぇ、作業進まないの。
さてと次回は15日です。お楽しみに!
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