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第508話.我慢の解放

 程よく照る日の光を浴びながら食べる焼きそばの味は格別だ。普段の休みの時も、お昼に作ることもあるが、そういったのとはまた違う美味しさがある。家では味わえない、文化祭という非日常だからこその味。

 同じ一学生が作ったとは思えない焼きそばに舌鼓を打ちながら、私は時折刻の方をちらりと見る。口の端にソースが少し付いていた。私は手に持っていた焼きそばとお箸を膝の上に置いてから刻の方に少し寄る。そして私は顔を刻の方に近づけ、下をペロッと出した。


「んっ?」


 刻の口の端に付いたソースをチロっと舐め取る。舌を出したまま私は「にへへっ」と笑う。


「ソース、付いてたからさ」

「あ、そう?……普通に言ってくれたら良かったのに」

「んー、ちょっとだけ攻めたイチャイチャしたかったからさぁ。……ダメだった?」

「いや、ダメじゃないけど……家の方が色々できるんじゃ?」

「それはそうだけど、学校でだってイチャイチャしたいもんっ。それに、最近ずっと忙しくてそれどころじゃないし、文化祭が終わっても刻はまだ受験があるし……ちょびっと寂しかったからさ」


 そう言いながら私は少しだけ俯く。

 わがままだったかな。無理を言ってしまっただろうか。そう思ってしまう。

 刻は何を言うでもなく、ただ体をこちらに寄せてくる。そしてギュッと抱きしめてくれた。


「あと少し……あと少しだから、もうちょっとだけ。そしたら、俺も我慢するの、やめるから」

「が、我慢?」

「そう、我慢。……俺だってさ、蒼ともっと引っ付いて仲良くして、イチャイチャしたいんだぞ」

「……そっか。じゃあ、もう少しだけ辛抱?」

「ん、今日は少しだけ辛抱やめる」


 刻はそう言うと私の額に、刻の額をこてんと当てて静かに笑う。


「今日は私、どんな風にされちゃうのかな?」


 なんて刻の欲を煽るように言ってみる。するとカプっと私の唇を軽く噛むようにしてキスしてきた。

 学校の中なのに。まだ真昼間で明るいのに。人が見ていてもおかしくないのに。

 そんな状況が尚のこと、私の事を欲情させてくる。

 ぷはっ、と息を吐きながらキスを終える。ツーっと透明な糸が2人の唇を繋いでいて、それがなんとも艶かしい。


「んっ……お家帰ったら、今日は覚悟しててよ」


 私は顔を赤くしながらそう言ってまだ残っていた焼きそばを平らげてしまった。


第508話終わりましたね。刻の受験はサラッと終わらせます。はい、恐ろしいくらいにサラッと。案外器用にこなすのでね、我らが主人公の刻くんは。

さてと次回は、29日です。お楽しみに!

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