第503話.デートの不安
教室に戻ってしばらく作業を手伝う。ただ頭の中には凛達の作業についてどうしようかという事しかなかった。クラスの代表である以上、そこら辺の管理もしなければならず頭が少しパンクしそう。
というか刻との文化祭デートの事も考えないといけないのだ。なのにこれだけ他のことにも気を取られないといけないと考えると、うーん……難しい。
実際問題としてお昼に近づくにつれて、明らかに客入りが増えてきている。微妙に外にも並びだし始めてるし、これは早めに手を打たないと。
私は少し離れた所で作業していた刻を呼ぶ。
「どうかした?」
「あのさ、私これから凛達の助っ人に入るから、今日の文化祭デート出来たとしてもギリギリになっちゃうかも」
「……そっか。うん、分かった。凛達の事、助けてやってきてくれ」
少しだけ寂しそうな表情をしながらも、納得してくれる刻。申し訳ないと思いながら、私は軽く手だけ振ると、凛達のいる家庭科室に向かった。
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蒼の事を家庭科室の方に送り出した。蒼程の料理の腕なら、十分戦力として活躍できるし、何より効率も抜群に上がるだろう。けれど、それ以上に個人的な感情としては寂しさの方がやっぱり強い。仕方がないとは分かっているけれど、けれど楽しみにしていたのはどうしようもないくらいに本当の事なのだ。
溜息をつきながら少し気分を落として俺は引き続き作業に勤しんだ。午後からは実行委員の仕事と残りは自由時間なのでそれまでに蒼が暇になることを祈るしかない。
「浮かない顔してどーしたよ」
ふと後ろから声を掛けられる。振り向くとそこには客として訪れた灯崎の姿があった。
「別に……」
「別にって、なんも無いやつはそんな辛気臭い顔しないんだよ。なんかあったんだろ?」
「……蒼との文化祭デートが出来るかが分からなくて少し不安になってるだけだ。ほっとけ」
少し自棄になりながら俺はそう突っぱねる。
そんな俺の様子に灯崎は呆れからなのか、単純に面白かったからなのかは分からないが、乾いた声で灯崎は笑う。
「……まぁ、空宮さんとデートが出来るように色々やってみるしかないだろ。存外俺には関係の無い話だったから、首をつっこむのはこれくらいにしとく」
「そもそも首を突っ込まなくてよかった話なんだよ」
「確かにそれもそうか」
また灯崎は笑う。
第503話終わりましたね。文化祭デート、実は2年生の時は蒼と刻でのデートは無かったんですよね。2年生の時は主に凛が刻と遊んでましたから。
さてと次回は、19日です。お楽しみに!
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