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第29話.温泉

 それぞれ浴衣と荷物を持つと、エレベーターを使って地下一階まで降りた。どうやらここは地下一階に温泉があるそうなのだ。何でも海が凄く綺麗に見える造りになっているんだそう。


「じゃあまた後でね〜」


 俺達は男湯と女湯の脱衣所入口前で別れた。

 中に入ってからロッカーを開け服をササッと脱ぐと、俺は身体を洗うタオル片手に大浴場に入った。

 中は意外と広く、ここだけでも風呂が三種類ほどある。さらに外を見れば露天風呂も完備。丁度いい感じに海が見えるようになっている。ちなみにサウナもあるよ。


(なるほど。綺麗な景色を見た後に体を整えろということだな)


「さて、さっさと体を洗いますか」


 近くの空いているシャワーの場所まで行くと、椅子に座ってお湯を出す。軽くお湯を浴びた後はいよいよウォッシングタイムだ。

 まずは頭から丁寧に洗いそして泡を流す。次に顔を洗顔用石鹸で優しく洗いまた泡を流す。最後に体をボディーソープをつけたタオルで洗い、泡を流せば完了だ。これにかかる時間約15分。

 よくは知らないが、女子達は髪とかも長いからもっと時間がかかるのだろうか。まぁ、俺が気にして変わることでもないんだけど。

 体を洗い終えた後、俺は速攻露天風呂に向かった。時間が比較的早いためかほとんど、と言うか俺以外に露天風呂に人はいない。


「おぉ……寒っ」


 外に出るとその寒さにやられてしまう。夏とは言えども身体を洗い終えただけに過ぎないのでまだ全然温まっていないのだ。寒いものは寒い。普段なら涼しいと感じる風も、今は殺しにかかってきているとしか思えない。


(さっさと露天風呂に浸かろ)


「ふぃー、気持ちがいいなぁ」


 チャポリと足からお湯に浸かると、目を瞑りながら波の音と温泉を楽しむ。あぁ、寝てしまいそうになるくらい本当に気持ちいいな。

 しばらくの間そうしてくると、竹の仕切りの向こうから賑やかな声が聞こえてきた。おそらく隣の女湯にいる女子達なのだろう。


「温泉ポッカポカ〜」

「気持ちいいですねぇ〜」

「だね〜」


 女子達はのんびりとした声でそう言っている。


(楽しんでますねぇ)


 そんな事を思いながらまたゆっくりと温泉を楽しむ。

 俺がそうしているとまた女子達の方から声が聞こえてきた。

 お喋り好きだな。


「ユウってさ服の上からじゃ分からないけど、意外と胸あるんだね」

「キャッ!?」

「おぉー、本当だ!しかもめっちゃ柔らかい!」

「ち、ちょっと……」


 仕切りの向こう側から聞こえてきた話は、俺が聞いてはいけないような気がする話だった。

 とんでもない会話してる……。


「でもでも確かにユウもあるけどさ、多分ダントツで一番あるのは凛だよ?ほら、Gぐらいあるんじゃない?」

「そんなにはないよ〜。あってもせいぜいFかな」

「それだけあればいいじゃん!私なんてDあるかどうか……。ユウは確定でEあるしさ」


 うん、本当に聞いてはダメな気がする。でも聞いてしまう。加えるとするなら空宮からやたら悲痛そうな声が聞こえてきた。


「先生は何カップあるの?」

「Fだけど」

「ぐぬぬ……遺伝子めっ!」


 やっぱり空宮からは悲痛な声しか聞こえてこない。


「というか、今更だけどこれって男湯の方にこの会話聞こえてるんじゃない?」


 ゆっくり温泉に浸かりながら女子達の会話に耳を傾けていると、凛から鋭い指摘が入った。


「た、確かに……」

「もし、これが刻くんに聞かれてた場合……」

「は、恥ずかしいですね……」


 ヒヤリと命の危機を感じている一方、女子達から聞こえてくる声は次第に小さくなっていった。

 多分俺に聞かれているかもしれないという可能性が、排除しきれなかったせいだろう。そういう事にしとこう。そうしよう。



✲✲✲



 露天風呂から上がって、しばらくサウナに入った後に大浴場を出た。服を着て髪の毛を乾かすと俺は脱衣所の外に出る。女子達はまだ出て来ていないらしい。

 近くのソファに座りスマホをいじる。体が温まったせいか、少し眠気がするな。俺は温泉内で目を瞑った時と同じように、少しの間目を瞑った。


「あれ、刻寝てるの?」

「どうでしょう」


 しばらくすると女子達の声が聞こえてきた。どうやら俺が寝ていると思ったみたいだ。まぁ、かなりリラックスした状態だったし、寝ていると思ってもおかしくはない。


「起きてるよ」

「わっ!」


 俺はゆっくり目を開けて起きていることを伝えると、なぜか空宮にすごく驚かれた。そんなに驚く要素あった?


「もう、びっくりするじゃん!」

「いや、知らんし」

「起きてるなら目を開けといてよね」

「えぇ……」


 なぜか空宮に怒られた。目を瞑るくらいいいじゃん。

 そう思いながらも、その事を口にすることなく立ち上がった。


「さて、部屋に戻るか」


 そう言うと皆エレベーターのある方にテクテクと歩いて行く。

 俺達は到着したエレベーターに5人全員乗り込んだ。降りてくる時も思ったが、やはりこの広さのエレベーターに大人サイズ5人はちょっと狭い気がする。

 カラオケの時の二の舞になりそうだし、隣からはいい匂いがずっとするし。女子っていい匂いがする生き物なの?

 五階に着いたあと、ゆっくりと歩きながら部屋に戻る。このまま時間の流れもゆっくり進めばいいのにな。

 さて時刻はまだ4時ぐらいだし晩飯の時間までまだある。これからどうしようかな?


第29話終わりましたね。今回は女子の会話が結構メインというか、あれメインなの?(作者も分からない)が多かったですね。あとは温泉行きたいなぁ。

さてと次回は20日です。お楽しみに!

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