十七章 月夜を照らす 其の拾漆
サクラコ裏話 ステータス編
ステータスは攻撃、防御、技術、射程、機動、知力、成長性、戦闘IQ、精神力、神秘量の10個を評価するよ!(数値基準表1〜3欠陥、3〜5標準、5〜8優秀、8〜10卓越、10〜超越)
22回目
幹 慎一郎
攻撃力 20
防御力 20
技術 20
射程 15
機動 7
知力 7
戦闘IQ 15
精神力 10
成長性 0
神秘量 20
総合評価 134
このステータスは第ニ部夏を参考に作っております。
バーベキューの片付けをし、二人は都市に唯一存在する温泉施設に足を運んだ。
「んじゃ、また、後でなー」
そう言うと慎一郎は男と書かれた暖簾を潜って行く。彼の姿を見守り、ツクヨも女と書かれた暖簾を潜った。
大きな湯船に浸かり、ぼんやりと壁を眺めるとこれまでにあったことを思い出す。慎一郎と出会い、色々なことに巻き込まれ、体験してきた。
バカみたいで、アホらしく、くだらない。
それでも、彼女にとって、未知の体験であり、未知の道のりであり、どれもが新鮮であった。つまるところ、彼女は無意識に楽しい、そう思っていた。
パチャリパチャリと水が滴る音がして、目を瞑り耳を傾ける。春頃、風紀を正すと言うのは誰に与えられた任務でもなく、それらが自分の使命と定義し、機械的にこなしてきた。
昔から、彼女に目的や、目標、そんなものはなく、ただ、与えられてきたことだけをこなし、淡々とこなし、幾星霜の他人の山の上に一人、たった一人立ち続けていた。
自分は与えられて来たことだけを、自分が出来る範囲で完璧にする。それ以外の価値はなく、意味など無い。
そんな彼女に意味を、生きる意味を、自分の価値を、幹慎一郎は教えてくれた。
(私、思えば、慎一郎に貰ってばっかだ)
一度、考えるとそこから坩堝にハマり、抜け出せない。
お湯に浸かっていたことも忘れ、ツクヨは考えていた。
***
(入りすぎた、あたま、まわんない)
ツクヨは若干のぼせ気味にフラフラと暖簾を退けると座りながらテレビを眺め、コーヒー牛乳を飲んでいる慎一郎がいた。
「おいおい! のぼせてんのか!? 新しいの買って来るから座ってろ」
そう言うと近くの自販機に駆け寄った。
しかし、そんなことは頭のぼんやりしているツクヨには聞こえておらず、開けられていた目の前の瓶の中身を一気に飲み干した。
五本ほど買って両手にコーヒー牛乳を抱える慎一郎が近づくと自分のものであった瓶をゴクゴクと飲んでいるツクヨを見て、声を上げる。
「ああ?! それ俺のぉ〜、まぁ、いっか! ほら、ツクヨ、そんな緩いんじゃなくて冷えてるのあるからこっち飲めよ」
目の前に出された五本の内、三本のコーヒー牛乳を飲み干すと徐々に頭が冷えて来たのかぼんやりとしている思考が覚めて来た。
「ありがと、慎一郎」
「うお?! どうした?! いきなり、礼なんてビビるぜ」
「違う、いつも、色々してもらってばっかり、だから」
思考は覚めれど、熱は冷めぬ。
そんな今だからこそ、自分の想いをハッキリと伝えてしまう。今宵の熱に晒されて、慎一郎と言う自分に初めてばかりを教えてくれた人に告げた。
そんな言葉を聞き、慎一郎は笑顔を溢した。そして、空いた瓶を片付けるとツクヨの目の前に背中を向ける。
「疲れてんだろ? おぶってやる」
その言葉を聞き入れ、ツクヨは何も言わずに慎一郎の背中に乗ると温泉施設を後にした。
慎一郎の大きな背中に、ポツリと寄っ掛かるツクヨ。その人の温もりが熱った体を冷ます事はないものの彼女にとって心地が良いものであった。
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自作の続編でもあるのでもしよろしければこちらも是非!




