第三十七話 物事は自分に返ってくる
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気付いたら牛車の上にいて
「な、なんで俺らは出発してるんだ」
魔族の企てを未然に防ぎ
国賓として迎え入れられて
この国に長いこと滞在しようと思っていたのに…
「酔ったキリヤとフローレンのバカが水路におしっこをぶちかましたのよ
本来なら重罪だけどヴェルダンデの悪事を暴いた功績に免じて
国外追放で許して貰ったわけ」
どこかで聞いた話だ…
「てか、フローレンもやったのかよ」
「綺麗すぎてつい」
戦礼で本能が出てきにくくなったんじゃなかったのか
満月だったのもこの国着いてからだし
一回抑えてしまうと反動でも出るのか…?
見たかった…
おっと間違えた
まだ旅の資金稼げそうだったのに
「ケイティは?」
「ああ、俺らのパーティに誘ったんだがな」
「あちきは風の吹くまま漂う吟遊詩人なのです
1つの居場所には居られないのです
今回の事でお金も返せたし
あちきの夢を叶える旅はまだまだ続くのです、ばかやろーです」
『おい、お前、手を出せ』
博史が左手を出しベックズが触れると
左手から腕までタトゥーのような魔法陣が現れ
肌の中に消えていった
「?」
『お互いに命の危機が訪れた時に一度だけ召喚しあうものだ』
「お互い?」
「本当にありがとうなのです
恩人に感謝の歌を歌いたいですが
歌詞に出来ないのが悔やまれますです、ばかやろーです
またどこかでお会いしましょうっです」
とケイティもどこかへ旅に出て行った
こうして俺らはまた旅立たざるを得ないのであった。
ヴェルダンデ
今回は散々な目にあった
折角苦労して今の立場まで昇りつめたというのに
あいつらのせいでまた一からやり直しじゃねぇか
水の都を後にし、一人歩くヴェルダンデ
俺は小さい時から親が居なく孤児院で育った
孤児院の中でも腕っぷしが強かったわけじゃない
周りからも孤児院育ちとバカにされて育ってきた
そんな中番長格の一人が俺に因縁を付けてきてボコボコにされた
なけなしの金を奪われ、毎月金を払うように言われた
ムカついた、怒り狂った
殺してやろうと思った
だが、殺したところで俺が捕まり
この先の人生が終わるのは目に見えていた
かといって、腕っぷしでは敵わない
だから、そいつの妹を狙った
俺がやられたようにその妹を殴った
そして「俺はお前の兄にやられたことをお前にやっただけだ
次やってきたらお前の命を奪うからな」と釘を刺した
俺はそいつに殺されると思った
俺の胸は清々しいほどに腫れていた
だが、そいつは俺を殺さないどころか
目すら合わせなくなった
番長格で偉そうにしていたやつが
普通の一般人に成り下がった
そこで俺はそいつに自分から近づき話しかけた
そいつはビクッとし
「妹を狙うなんて卑怯だ」とだけ小言で言った
「卑怯?
強いお前が力をふりまいているのと俺がしているの何が違うのか?
俺に逆らえばお前の家族恋人友人いつでも殺しにいくからな」
とカマをかけたら
「す、すいませんでした」
と泣きそうな目をしながら謝ってきた
俺には家族恋人友人等居ないから分からないが
この脅しはかなり有効だと学んだ
俺に不都合な人間が現れたらこの言葉をよく使った
時に反発してくる奴が居たが
実際に家族や恋人を危うい目に合わせるだけでそいつらは怖気づいた
初めは自分がやっていたが
こうゆう事は金で動く人間がいる
一人だけ屈しない男が居た
そいつは過去の番長を使い事故に見せかけ始末した
番長だった男にお前の家族を殺されるのと
見知らぬ誰かを殺すの
どっちが良いか選ばせただけだ
簡単な事だった
こうして孤児院育ちながら官僚まで成りあがった
防衛大臣になって敵対する魔族の脅威への対策が必要になった
しかし、金で動く人も実は魔族だった
俺は魔族を脅威対象ではなく
取引相手にした
このまま魔族をこの国に住まわせて
魔族の安全性をアピールし票を得る
従わない人間には知らしめる
俺の思う通りに事が進めば
この国は俺の物になる予定だった
そんな中シューティングスターの面々が現れた
取引先の魔族共はそいつらをこの都で始末しなくてはならないらしい
策は授けた
しかし、噂を聞く限り始末をするのは難しいだろう
あいつらが失敗した時の為
俺は一人だけ国を出る準備をした
戦いが起こり、俺が魔族との取引をしていたのがバレるのは時間の問題だからだ
暫く人間からも魔族からも逃れ
ほとぼりが冷める頃に帰り咲けば良いだろう
まだ国内に脅しが聞く連中がいるからな
そう思いを巡らしアルブジルへの道中
突然人が道中に現れた
「なんだ、てめぇは」
俺は腕っぷしが強いわけではないが
油断をしていたわけではない
一瞬で意識を刈り取られた
目が覚めたら見知らぬ地に伏して居た
拘束される事も無く
場に寝かされていた
目の前に魔族の顔があった
「ひっ…」
「テッシン、ご苦労様ぁあジュルルル
まさかユーが依頼を受けてくれるとは思わなかったmamamama」
腐敗臭を纏ったからくり人形のような物が話し出す
「ここは…」
「あらあぁあぁ
初めましてぇんジュルルルでもないわねぇmamamaaa」
「そ、その声は」
「ええ、通信機越しに話したことならあるわねぇmamamama
四天王序列第二位ドクトルクイン様でmamamamama
ユーが何でここに連れて来られたのか分かっているわね
もぉう下半身がトケチャウジャナナアアイ」
「魔族だとしても俺に手を出してみろ
俺の部下がお前の大事な人を殺して回る…」
気が付いたら右手が無かった
「うぐぅうううあああああ」
右手に骨を砕かれた激痛が走る
「ううっむぅ美味な声だわぁあぁaaamm」
「相変わらず趣味が悪い」
「貴様…大切な人が死んでも良いのか…?」
「ドクトルクイン様吸っていい吸っていい吸っていい?」
魔族ガシェットがヴェルダンデの傷口に口を当てる
「まぁあだぁだよぉお
ねぇヴェルダンデ、ユーにはまだまだまだまだたくさーん
聞くことがあるからねぇえぇえ」
「ドクトルクイン様でも吸った後でも色々聞けるよ」
「ああ、ガシェット、そうだったわぁあ
ヴェルダンデ、残念ながらもうミーには大事な人はいないのよぉおmmm
お・や・す・m」
ジュルルルるぅううー
俺は…死んでいない…
身体が動かせない…
音は聞こえる
瞼が開けられない
瞼の外にかすかな光を感じるのに
肌は何も感じない
呼吸が出来ない
意識がある
「ジュルルルルmamamam
使えないわね、シューティングスターの情報ほとんど無いわね」
殴られたようなガツンと鈍い音がした
「他に使えそうなやつもいないわねmmmm」
カツカツカツと足音が遠ざかっていくのだけ聞こえる
意識が消失しない
まさか、俺は永遠にこのままなのだろうか
あいつは他にと言っていた
まさかこの部屋に同じく意識だけ残された人間が沢山いるのでは無いのか
だれか、俺を殺してくれ
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