第三十四話 腹ペコ吟遊詩人少女
水の都の市場は、朝日とともに活気を取り戻す。
魚介の匂い、焼きたてのパンの香ばしい香り、新鮮な果物の甘い匂い——。
だが、最近この市場で妙な事件が続いていた。
「また消えた……!(運河の怪盗)の仕業だ!」
魚屋の親父が、苛立たしげに頭を掻いた。
「今朝、店を開けたら、新鮮な鯛がごっそり消えてやがった!」
「うちのリンゴもだ! 何十個も箱ごと無くなった!」
「パン屋のあんパンも……昨日も一昨日も消えたんだ……!」
市場の商人たちは皆、突然消える食べ物に頭を悩ませていた。
金貨や宝石ならまだしも、狙われるのは食べ物だけ。
博史たちが受けた任務
「消える食糧の謎(運河の怪盗)を解き明かせ」
市場から消える食べ物の謎を解き明かして欲しいというものだった
「(運河の怪盗)って…
この都では何か消えたとしても妖精のせいにされるんじゃなかったのか?」
博史が被害者の商人に聞き込みを行う
「今時そんな迷信を信じていたら商売なんかやってらんねぇよ
俺らは毎日忙しくて探すことなんて出来ねぇんだ
頼むぜ冒険者たち(運河の怪盗)を捕まえてくれ!」
深夜の市場、忍び寄る影
月が昇り、市場が静まり返る頃——。
市場の屋根の上で身を潜めていた。
捕獲要因のブランと隠密スキル持ちの戦闘要因で博史とキリヤ
「なあ、博史ー可愛い子だったら弱みを握って好き勝手しようなー」
「バカな事いってんじゃないよ
この都でも追放されるなんてまっぴらだ」
「うるせーポンコツ」
「なんだ非モテ勇者かぶれ」
潜入捜査だというのに潜入のかけらもなく言い争う二人
暫く言い争っていると二人は寝息をかいて寝てしまった
博史は一度は刑事でやってみたく
準備していたあんパンとコーヒーを取り出す
その時
夜風が吹き抜け、遠くで水面が揺れる音が聞こえた。
そして——
チョロチョロ……ガサッ。
(……来たな。)
博史はあんパンを片手にそっと目を凝らす。
闇の中、静かに動く小さな影。
細い手が、パン屋の棚に忍び寄る。
そして、素早くパンを掴み、袋に詰める。
(やはり"怪盗"か……だが、思ったより小さいな。)
「ブラン、拘束魔法行けるか?」
「う…むにゃ…あ!拘束!」
ブランの魔法が盗人を捕え
暗闇から縛られた少女が現れた
「な、なんなんですか?このやろーです」
少女は片手に盗んだパンを持ち
目を逸らししらばっくれようとする
「妖精なら観賞用に捕まえて売り飛ばすが……お前はどうする?」
「——っ!」
少女はピクリと震えた。
「意外に博史も残酷なこと言うね」
脅しで言ってみたかったセリフ
ポンコツブランのせいで雰囲気が台無しだ
「なぁ可愛い子ちゃん
この事をバラされたくなかったらあの物陰でっとおおお」
ブランがキリヤを捕える
戦闘はなさそうなのでキリヤは用済みだ
「ま、待って……!ばかやろーです」
少女は袋を抱えたまま、観念したように肩を落とした。
「……さて、何でこんなことした?」
俺が問いかけると、少女はむくれた顔でこちらを睨んだ。
「… あちきはただ、…お腹が空いてただけなのです、このやろーです」
俺は眉をひそめた。
「……ただの食い逃げってことか?
背中に大事そうに担いでいる弦楽器を演奏して稼いでいるんじゃないのか?」
少女は頷いた。
「うっうっ…歌うことでご飯をもらおうと思ってたんだけど……
誰も聞いてくれなくて……。
雇ってくれるとこはどこも無くて…
道端で歌っては居るんだけど
パン一つ買えないくらいのお金しか稼げなくて…
気づいたら、お金もなくなってて……ばかやろーなのです」
少女は背中に背負ったリュックをぎゅっと抱えた。
「お腹が空いて……仕方なく、
ちょっとだけ……ばか、なのです」
グうううと少女のお腹がなる
「ちょっとだけって…
毎晩それだけ盗んでお前はお腹空いているのか」
「うっ…それは…」
博史は刑事の真似で食べようと思っていた
片手にコーヒー片手にあんパンの
あんパンを差し出す
少女は一瞬戸惑ったが、すぐにかぶりついた。
「ん~~~~っ! おいしい……!」
頬をふくらませながら、涙目でパンを頬張る姿はまるで小動物のようだった。
(まったく……"運河の怪盗"なんて言われてたが、ただの腹ペコ吟遊詩人だったとはな。)
(さて、この子をどうしようか
いきなり警官に差し出すのは無しにしても
市場の人達に正直に差し出す?
この状態だと今までの清算なんて出来ないだろうし
肩代わりするわけにもいかない
いっそ任務失敗にしようか…?
いや、そんなことやっても良くない
だったら自分で稼がせるしか無いか)
博史はルサーリカに相談し
吟遊詩人少女ケイティの借金を肩代わりし
この都に来た時にあった演奏設備のあるバーを紹介した
「吟遊詩人のBGMつきか、めっちゃ良い酒場だな」
酒場に入ってきた若いカップルが話しているのに耳を傾ける
どうやら評判は上々…
【服の上からスカート被り
下腹部の上にデザートを乗せる
メーデーメーターくるりん
大腿骨で刻む
リズム狂わせ
タオル敷いて
神を降臨】
…?なんだこの歌詞?
「なぁキリヤこの国の吟遊詩人の歌って
意味が分からなくないか」
「ああ…言われてみればそうだな
そんなこと気にしたことも無かったが
酒を飲んで楽しかったら意味なんてどうでも良くないか」
言われてみればそうかもしれないが
美しい歌声なのに誰も見向きもしない
「意味のある歌は教会の聖歌しかないのよ
それ以外の歌はBGMなの」
とマリーが教えてくれた
聖歌しかないって逆にそれ以外は歌ってはいけないってことだろうか…
なんか闇深…てか考えない様にしよう
『けぇーっ誰も聞いちゃいねぇのによくやるな』
美しいケイティの横で下品に悪態をつく
ぬいぐるみのような物が浮いている
なんだあれ…
「なぁ、ケイティの横にいるぬいぐるみみたいなのも魔法なのか」
「ぬいぐるみ?」
マリーとキリヤが首をかしげる
『お、ちんを見える奴がいるぞ、ケイティ』
出番を終えたケイティが席に着く
「めっちゃいい歌だったな」
「ありがとうございますーです
いやー救って頂いた上に働き場まで紹介してくれるなんて
ホント恩人です小指から足の先まで上がらねぇですです」
「噂は本当なのねー」
「噂?」
「…妖精は乞食だって」
『け、色物ババアが言ってら』
「魔法使いのお姉さんのこと色物ババアだって言ってますです」
言われた瞬間真横を神の拳が通り抜けた
「当たったかしら?」
「掠っただけだけどめっちゃビビってるよ」
『び、ちんはビビってなんか無いわい』
――――――――――――――――――――――
目が覚めたら牢獄だった
??なんで?
冷静に辺りを見回す
一瞬フローレンとマリーコンビの捌け口として使われたのかと思ったがどうも違う
辺りには誰もいない
よく見たら棚に頭蓋骨が丁寧に並べてあった
「ひっ」
全身に寒気が走る
最近忘れていたがここは異世界
平和な日本とは違う
俺がいつあの状態になってもおかしくない
「にいしゃん目が覚めたでしゅ」
壁かと思っていた
魔族の大男
「うるるるらい
やっと起きたるるらい」
魔族の大男が抱いている普通の成人くらいの魔族の男
魔族に拐われたのか…
巷で言われてた人が消えるって妖精じゃなくて魔族のせい
え、俺死ぬの…?
「あ、あのー何か用でしょうか…?」
「うるるるるらい
ジュルルルラサンを消しておいて何言ってるるるらい」
終わった
「あの…あれはそちらから仕掛けて来たので
俺たちは」
「しょうなの?
にいしゃんきゃたきうちできないでしゅね」
「うるるるらい
俺はジュルルルルラサンがきるるぁいだから
敵討ちなんてするるるあい」
「にいしゃんジュラしゃん死んだら態度でかいでしゅね」
「うるるるるらい
うるるるるるせぃ
これで様におるるぇらの四天王入るぃを認めてもるぁるんだぜい」
ジュラサンの敵討ちではないのか
ジュラサンより弱いってことは大したことないのか…?
いや、飲みの場にはキリヤだけでなくブランもマリーもいた
それでも拐われたってことは力じゃない何かがある
てか、そもそも力でも勝てる気がしない
「あのーあなたたちは?」
「おるるぇか?
おるるぇは魔王軍四天王2位ドクトルるぅぅクイン様の幹部
巻き舌のロぉぉドギー
こいつは弟舌足るぁずのドロギー」
巻き舌に舌足らず
通り名だけな恐れるに足らないが
どう考えてもこの状況は絶体絶命だ…
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