Pass12約束と願い<正義>Act8
再会を果たせた主従。
レーシュは友になった2人を紹介しようとするのですが?
黒の召喚術師アインでは、チと不味いようで・・・
笑顔を溢すレーシュの傍に居るミイラと蒼い下級魔族を観て。
「下僕シスターよ。こいつらは何なんだ?」
黒の召喚術師アイン・ベートが質したのです。
「あ?そうでした。ご紹介しますね御主人様」
「もう一度だけ言うからな。俺はアインだ」
にこやかなレーシュが、何度も呼び間違うのでアインの顔が引き攣ります。
「あはは、そうとも言いますよね~」
でも、当のレーシュはシレっと聞き流すみたいですが。
しかもですよ、何やら薄ら笑いを浮かべても居ますけど?
「御主人様~、お二人をご紹介しますのでお耳を拝借~ぅ」
うぬ?何故小声で紹介するというのでしょう?
先の薄ら笑いと併せて、何やら企んでいるみたいな?
「なんだ?耳打ちしなければならない訳でもあるのか」
「は~いぃ~」
ニヤニヤしているレーシュに、幾分かは疑いの目を向けたアインでしたが。
「こいつ等に聞こえては不味いのか」
レーシュが何かの情報を手にしたのかも知れないと思い直して、レーシュに耳を貸したのです。
「こっそり教えちゃいますね。実はですね御主人様」
近寄ったレーシュが手で口を隠して話すのは?
・・・・・・ぼそぼそ・・・・・
え?!何を話してるのか聞こえないの?
「・・・と、魔鏡さんから教わったのです」
レーシュがアインの耳元で話し終えたら。
「そう言う訳か・・・なるほどな」
アレ?
魔鏡に映し出されていた赤毛の女性にまつわる話じゃないの?
別の話みたいですけど。
「それともう一つ。
これはとぉ~っても重要ですから、良く聞いておいて欲しいんですぅ」
「ふむ・・・聴こう」
小難しい顔のアインと対照的に、レーシュは頬を朱に染めて耳打ちするのです。
「もう一つの未来予想で・・・ですね。
ワタクシの希望が具現化されたんですけどぉ。どんなのかわかります?」
レーシュはぼそぼそとアインに訊きますが。
「知る訳が無かろう?」
知った事では無いと簡単につき返されます。
「ですよね~。でもぉ、御主人様だったらお分かりになられるかも~」
アインではなくて、アレフと言っていた訳が分かったような。
「俺はアインだ。アレフなどでは無いと言っているだろうが」
性懲りも無い奴だとアインがくどくどと答えた時、レーシュの眼が光りました。
「そ~ですよね~。だったら・・・御主人様になってくださいね!」
「な?!」
な?!にぃ?
目を輝かせたレーシュが執った行動とは?!
めきょ!
頭一つ分背の高いアイン・ベートの額に向けて、レーシュがリボンで隠したままの角を突き上げたのです。
隠してある角の先端をアインへ?
つまり・・・その行為は?!
ぐらり
アインが眼を見開いたまま卒倒して崩れ折れます。
「は~い!狙い通りぃ~」
・・・レーシュもなかなか策士・・・じゃなくて、鬼でしたかW
「そして、回復魔法ぅ~ぽん!」
崩れ落ちそうになるアインを押さえて、直ぐに回復魔法をかけるとは?!
「うむむ・・・なにやら気分がすぐれんぞ?」
見事にレーシュの思惑通りな展開になったみたいで。
「おい・・・下僕レーシュ。俺様に何をやらかした?」
あ・・・これはもう一人の方ですね?
「なぜ・・・俺様を仰け反らせている?」
やっぱり・・・アレフに変わったみたいです。
「御主人様ですよね。良かったぁ~」
妖し気な笑みを消したレーシュが呼びかけて。
「御主人様だったら、ワタクシの希望ってモノが分かられますよね」
ジッと眼をウルウルさせてアレフに訊くのです。
・・・って、いきなり訊いて話が飲み込めるんですか?
「下僕なレーシュの希望ってか?
ふむ・・・そうだな。お腹一杯喰えるって奴だろ?」
おいおい・・・そんなのが希望な訳がありますか。
「御明察ぅーッ!さすが御主人様ですッ!」
・・・マジですか?!それがレーシュの希望・・・なの?
「しかもですよ、シカモ!
豪華な宮殿みたいな場所で、観たことも無いような豪華なお食事を。
・・・その、あの・・・御主人様とご一緒に・・・ですぅ」
ほぉ?なるほどねぇ。確かにレーシュにとっては希望でしょうけど。
「ぬ?宮殿みたいな場所でだと?」
聞き逃さなかったアレフが返すと。
「はい!まるで・・・そうですねぇ、王宮のような感じにも思えましたけど」
「お、王宮だと?!」
ピクリと顔を引き攣らせるアレフ。
「そうですよぉ。まるで王様と妃が晩餐するみたいに思えたのですぅ。
豪華な宮殿で、綺麗なドレスを纏って・・・ワタクシが・・・」
にちゃりと哂うのはレーシュ。
どこか夢の世界に没入したかのようです。
「王様と妃・・・だと?」
顔を引き攣らせるのはアレフの方。
「まぁその。魔鏡さんだって未来なんて分かる筈が無いですから。
きっと夢を鏡に映し出してくれただけでしょうけどね」
夢だとしても、希望を与えられたのはレーシュにとって嬉しかったようです。
「だって・・・闇に囚われてしまうなんて嫌でしたもの」
ポツリと溢すレーシュ。
最初に見せられた幻影を、信じたくなかったのが本当の処なのですが。
「闇に・・・囚われるだと?」
「あ・・・いいえ。アレはワタクシではないみたいなのですけど」
ちょっとだけ心細くなったレーシュの顔が曇ったのですが。
「それは、俺様から下僕レーシュを何者かが奪うということか?」
アレフが鼻息荒く質してくるのです。
「あの、ワタクシではないようなのですけど?
赤毛で貴賓な方でしたから・・・違うようなのですけど」
レーシュはそこで言い澱んでしまったのです。
鏡に映し出された女性にもティアラから覗く角があったのを。
「赤毛で貴賓・・・人違いではないか」
「でしょぉ~?」
人違い・・・そうであったのなら良いんだけどって、レーシュは考えたかどうか。
「ですからワタクシは、希望の未来に期待してるんですぅ」
心配を振り切るかのように、明るくアレフに微笑んだのでした・・・が。
「うむむ・・・それには添えんぞ。
俺様は王宮になんか居座りたくないんだからな」
一方のアレフは、レーシュの希望の方を否定して来るのです。
「いやあの~?居座らなくったって。
一度だけでも良いじゃないですか、御主人様ぁ~」
「一度も何もない!俺様はあんな場所になんて行かないからな!」
あんな場所?そう言いましたねアレフは。
「え~?!どぉ~してなのですか御主人様ぁ。
それにぃ~王宮をご存じなようですが、どうしてなのですぅ?」
聞き逃しませんでしたねレーシュも。
ぴくくッ
アレフの頬が引き攣りました。
「うッ・・・お前は知らなくて良いんだ」
「ほぉう?訳アリなのですね御主人様」
つっこむ、つっこむ!
バツが悪くなったアレフがそっぽを向きます。
その表情を観て、何かを思案したレーシュがポンと手を叩きました。
「そう言えば。御主人様って王国金貨を大量にお持ちでしたよねぇ?」
確かに。ふんだんに持っておられるようですが?
「あの金貨って。どうやって手にされたのですか?
もしかして・・・王宮に忍び込まれたとかじゃぁないですよね?」
レーシュが心配顔になって訊いたのでした。
がっくし
途端にアレフの肩が墜ちました。
「俺は勇者様なんだぞ。盗賊ではないからな」
「そ~でしたね(棒)」
疑いの眼でレーシュが突っ込みます。
「じゃぁ、御主人様は王様だったのですね(棒)」
有り得ないからって、冗談を返したのです。
びくん!
今度はアレフの踵が撥ねました・・・って?!え??
「いや、俺様は・・・だな」
「え?!なに?なぜ?そんなに狼狽えてるんですかッ?」
冗談から駒が?
・・・・沈黙。
然る後。
眼をパチクリしてアレフの答えを待つレーシュへ。
アレフが言い辛そうに小声で言うのは?
「俺様はアレフ・ラメドだ!グスタフ王の子ではなくなったんだからな」
は?
え?
ほえええええぇ?!なんですとぉ?
「い、い、今。ニャンと?」
レーシュはゲシュタルト崩壊しながら訊いたのでした。
嫌ぁああああああ?!マジ?
あのポンコツ勇者モドキが、元王子様?!
こんなの反則ですから反則ッ!
やっと正体を晒す事になるのでしょうか?
もしも王子だったとすれば、黒の召喚術師はどういった関係なんでしょうか?
次回に話は続くようです~
いやはや?!意外でしたか。
まさかの王子様だったなんて・・・って。マジか?!
アシュラン国の王子様だったの?
本当なんでしょうか・・・
次回 Pass12約束と願い<正義>Act9
それはさておき。マミとマァオ君の紹介はどうなったんです?




